台詞集

撃墜!! 大樹海に消えて




夢……

俺は夢を見た……
それは忘れていた
記憶だったのかもしれない……

夢……
記憶……

眠りにつくと思い出すもの……
目醒めているとき忘れているもの……

記憶の深層は、夢の表層……

そのどちらが現実で
どちらが虚構なのか……
目醒めてみなければ判らない……

あるいは、そのどちらもが現実で
どちらもが虚構なのかもしれない……

境界のない……
とてもあいまいなもの……

自分という存在と同じくらい
虚ろなもの……

そんな夢を、俺は見た……

長い……
語り尽くせない程の
長い長い夢を見た……


……カン……ラカ……ン……▽

「ラカン、どうかしたの?▽

「ラカン?▽

その夢の中で、俺は
『ラカン』という名で呼ばれていた……
俺は絵描きだった……

その絵描きとしての腕を見込まれた俺は
今こうしてニサンの聖母
『ソフィア』の肖像画を描いている……

ラカン
「ああ……、いや、
 なんでもないんです。▽

「……今日はもう
 おしまいにしましょうか?
 何だか疲れた顔しているもの。
 ……大丈夫?▽

ラカン
「ええ、大丈夫ですよ。
 ……そうですね。▽

ラカン
「今日はもうやめにしましょう。
 “ソフィア”様こそ
 お疲れなのではないですか?▽

ソフィア
「もう。▽

ソフィア
「二人きりの時はその呼び方は
 止めてと言ったでしょう?▽
 ……昔通り、
 “エリィ”でいいわ。
 それと敬語も止してちょうだい。▽

ラカン
「え、ああ、わかった。
 そうし……いや、そうするよ。
 “エリィ”……。▽


『エリィ』……

彼女がその名で呼ばれていた頃。
俺達は出会った……
その時の俺達にはお互いの立場も
何も関係なかった……

それで良かった……
ただそこに二人がいる……

それだけでよかった……


ラカン
「一週間ほど……、
 自宅に戻ろうと思うんだ。▽

エリィ
「あら、どうして?▽

ラカン
「絵の具が切れかけてるんだ。
 だから……、新しいのを
 作ってこなきゃいけない。▽

エリィ
「その為に、わざわざ
 あそこまで帰るの?▽

ラカン
「あそこでないと、いい顔料が
 とれないからね。▽

エリィ
「そう……。
 では、教団の者<カハル>に
 ギアで送らせましょう。▽

エリィ
「それなら早く着くし、
 なにより安全だわ。▽


俺は嘘を吐いた……。
絵の具が尽きかけていたのではなかった。
肖像画が完成してしまうのが恐かった。
いつまでも描いていたかった。

だから時間を稼ぎたかった……。
こんな俺を彼女はさげすむだろうか……。
否、
いつもと同様優しく微笑んでくれるだろう。
彼女はそういう女性だから……


夢……

ラカンという男のしょうがい……
そして何人もの男のしょうがい……

それが夢の全て……

目醒めてしまった今となっては
全く憶い出せない程
それほど長く切ない夢の数々……

その夢の中で
俺は一人の女を愛していた……
いつの日も、いつの時代も
それは変わらなかった……

女の名は……

その夢は、俺を変えてくれた……
その夢がきっかけとなって
俺は自分が何をすべきなのか

判ったような気がする……
何を果たさねばならないかを……

長い、長い、夢の記憶……
それは魂の記憶なのかもしれない……


夢……

私は夢を見た……
それは遥かな時の彼方の
記憶だったのかもしれない……

夢……
記憶……

……あの日、……あの時、
伝えられなかった言葉……
果たせなかった想い……

言葉と想い……二つの関係……

言葉がなければ想いは伝わらず……
想いがなければ言葉は消えてしまう……
どちらも大切なもの……

決して分かてないもの……
天使の両翼……男と女……

変えられない運命……
変えたいと願う気持ち……

私を変えてくれる人との出会い……
そして変わっていく私……

そんな夢を、私は見た……

長い……
語り尽くせない程の
長い長い夢を見た……


……カン……ラカ……ン……▽

「ラカン、どうかしたの?▽

「ラカン?▽

その夢の中で、私は
『ソフィア』という名で呼ばれていた……

聖母ソフィア……

象徴としての名前……
人の寄る辺となる者に冠される名前……
私がそれを望もうと、
望むまいと運命られた名前……

ラカン
「ああ……、いや、
 なんでもないんです。▽

「……今日はもう
 おしまいにしましょうか?
 何だか疲れた顔しているもの。
 ……大丈夫?▽

ラカン
「ええ、大丈夫ですよ。
 ……そうですね。▽

ラカン
「今日はもうやめにしましょう。
 “ソフィア”様こそ
 お疲れなのではないですか?▽

ソフィア
「もう。▽

ソフィア
「二人きりの時はその呼び方は
 止めてと言ったでしょう?▽
 ……昔通り、
 “エリィ”でいいわ。
 それと敬語も止してちょうだい。▽

ラカン
「え、ああ、わかった。
 そうし……いや、そうするよ。
 “エリィ”……。▽


『エレハイム』……

私はその名前が好きだった……
彼と初めて出会った時
そう呼ばれていたから……

私の本当の名前だから……


ラカン
「一週間ほど……、
 自宅に戻ろうと思うんだ。▽

エリィ
「あら、どうして?▽

ラカン
「絵の具が切れかけてるんだ。
 だから……、新しいのを
 作ってこなきゃいけない。▽

エリィ
「その為に、わざわざ
 あそこまで帰るの?▽

ラカン
「あそこでないと、いい顔料が
 とれないからね。▽

エリィ
「そう……。
 では、教団の者<カハル>に
 ギアで送らせましょう。▽

エリィ
「それなら早く着くし、
 なにより安全だわ。▽


いつからだろう……

彼が私をこばむようになったのは……
二人を隔てる壁……
『立場』……『境遇』……
彼はそういったものを拒絶していた……

違う……それは私自身……

だから……
そんなものいらない……

ありのままの二人でありたい……

そう私は願っていた……
だから……
私は描いてもらっている……

こうしてありのままの私を……


夢……
ソフィアという女のしょうがい……
そして何人もの女のしょうがい……
それが夢の全て……

目醒めてしまった今となっては
全く憶い出せない程
それほど長く切ない夢の数々……

その夢の中で私は一人の男を愛していた……
いつの日も、いつの時代も
それは変わらなかった……

男の名は……

その夢は、私を変えてくれた……
その夢がきっかけとなって、
私は自分が何をすべきなのか

判ったような気がする……
何を果たさねばならないかを……

長い、長い、夢の記憶……
それは魂の記憶なのかもしれない……


謎の爺さん
「フム、やっと
 目を覚ましたようじゃな……。▽

ヨッコラショ。▽

フェイ
「俺の体、治ってる……。

謎の爺さん
「お前さんはそこのナノリアクターで
 3週間も眠っておったのじゃ。▽

フェイ
「ナノリアクター?
 あんたは一体……?▽

謎の爺さん
「わしか……?▽

謎の爺さん
「名前など忘れてしもうたわい……。
 まぁ、トーラと呼ぶやつも
 おるがの。▽

トーラ
「お前さんの方は完治したようじゃな。
 むごたらしい傷じゃったが
 若さと体力のおかげかのぅ……。▽

トーラ
「じゃが連れの方はお前さんより
 損傷がひどくてな、
 もうしばらくかかりそうじゃ……。

フェイ
「もう一人……?

エリィ!!

フェイ
「エリィ……。▽

トーラ
「これ!
 いつまでも婦女子の裸体を
 しげしげ眺めとるんじゃない!▽
 こっちにこんか!▽

!!

フェイ
「エリィ……?▽


シタン
「フェイ!!▽

フェイ
「シタン先生!!▽

シタン
「トーラ先生から連絡を受けて
 かけつけたんですよ!▽
 いやぁ、よかった、
 幸運にも落下先が
 先生の研究所の近くとは……。▽

トーラ
「フン、
 研究所なんぞではないわ。
 “男の隠れ家”じゃよ。▽

トーラ
「シタン殿から
 お前さんらの事は
 聞いておる。▽
 びっくりしたぞぃ、
 血だらけのあべっくが
 倒れておったのじゃからな。▽

(あべっく……)▽

シタン
「何はともあれ、
 九死に一生を得たのです。
 よく礼を言うのですよ!▽

フェイ
「トーラ爺さん、
 オレ、本当に感謝してる……。
 エリィを助けてくれて……。▽

フェイ
「でもさ、オレもエリィも
 体、ズタズタだったのに……。
 あの機械は……?▽

トーラ
「あれはナノリアクターといってな。
 物質を原子単位で
 再構築することの出来る装置じゃ。▽
 ナノ技術は人の治療だけでなく
 理論上はあらゆる物質を
 創り出すことが出来る。▽

フェイ
「それって、
 ソラリスにいたあの男……▽
 カレルレンが研究している
 ものと同じ……?▽

トーラ
「そうじゃ。▽

トーラ
「きゃつにナノ技術を教えたのは
 他でもない、
 このワシじゃ……。▽

フェイ
「爺さんが?▽

トーラ
「さて、いらん話は
 これぐらいにせねば。
 娘の治療も終わったようじゃ。▽

トーラ
「ああ、お前さんは来んでいい。
 そこで待っとれ。▽

フェイ
「……。▽

シタン
「フェイ……。▽

フェイ
「エリィ!!▽

エリィ
「フェイ……。
 わたし……。▽

トーラ
「コホン、
 さあ、二人は外の空気を吸って
 来るんじゃ。▽
 急激な身体の変化を
 やわらげてくれるじゃろうて。▽


フェイ
「やっぱり
 エリィだ……。▽

エリィ
「フェイ……?▽

フェイ
「さっきエリィが
 部屋に入ってきた時……、▽
 もしかしてエリィが
 俺のことも何もかも
 忘れてしまってるんじゃ
 ないかって……。▽

エリィ
「えっ……?▽

フェイ
「だって……、エリィ、
 なんか前と少し
 感じが違ったから……。▽

エリィ
「私の顔、変わっちゃった?▽

フェイ
「ううん、そうじゃない、
 そうじゃないんだ……。▽

フェイ
「なんていうか……、
 フンイキって言うのかな?
 前と少しだけど……。▽

フェイ
「でも、なんか懐かしい感じも
 したんだ。▽
 初めて会った時にも思った……、
 いつかどこかで会ってたような
 あの不思議な気持ち……。▽

エリィ
「フェイ……。▽

フェイ
「ん?▽

エリィ
「私、撃墜されてからのこと、
 あんまり覚えてないの……。▽

フェイ
「覚えてない方が幸せだよ。▽

エリィ
「でも、どこからか
 私の名前が聞こえて……、▽
 とてもあたたかいものに
 包まれてたような……、
 そんな気がしたの。▽
 それだけははっきりと
 覚えてるわ……。▽

フェイ
「……。▽

エリィ
「ありがとう、フェイ。▽

エリィ……。▽

フェイ……。▽

トーラ
「おーい、もうそろそろ
 戻ってくるんじゃ、
 大事な話がある。▽

……。▽

フェイ
「う、うん、すぐ戻るよ。▽

フェイ
「さ、エリィ、
 行こうか。▽

エリィ
「え、ええ……。▽


トーラ
「どうじゃ?
 体に森の空気が染み込んで
 気持ち良かったじゃろ?▽

トーラ
「で、その
 刻印の解除じゃが……。▽
 おぬしらを再生した
 ナノ技術によって
 解放できる事がわかったんじゃ。▽

トーラ
「このポッドにナノアセンブラーを
 封入してある。▽

シタン
「そいつを世界中にばらまく事が
 出来ればいいのですが……。▽

トーラ
「ここの近くに古代の軍事施設が
 あるんじゃが……。▽
 そこにあるマスドライバーで
 射出すれば大気対流で
 広く世界中に散布することが
 できるかもしれんな。▽

トーラ
「わしがじきじき
 おもむきたいとこなんじゃが、
 いかんせん歳にはかなわんよ……。▽
 まぁ、お前さんらの未来のためだ。
 老人がでしゃばらんと
 若人が自らの手で道を切り開くのが
 よかろうて。▽

トーラ
「ほれ。▽

トーラ
「で、な。
 もちろんただでやってくれとは
 言っておらん。▽
 このリストバンドをつけてみぃ。▽

?▽

シタン
「それが先日、通信で
 おっしゃっていた?▽

トーラ
「うむ。
 これはな、ナノ技術を応用した
 “感情抑制装置”じゃ。▽
 そのリストバンドを模した機械から
 皮下に注入されたナノマシンは、
 やがて脳神経内に達する。▽
 そこで脳内物質である
 セロトニンなどを精製し、
 感情を制御するのじゃ。▽

??

トーラ
「まぁ、少々難しい話
 じゃったかもしれんが……。▽
 要はお前さんの第二人格
 “イド”の発露を物理的に
 抑制出来るってことじゃ。▽

フェイ
「イド……。▽

エリィ
「フェイ……。▽

トーラ
「まぁ、理論的には、じゃがな。
 もひとつ、オマケがあるんじゃ。▽
 同様の抑制機構を
 お前さんのギアにも
 施しておいたから……、▽

シタン
「例のフェイの中に眠る
 イドの“力だけ”を
 任意に解放する……▽
 という機構ですか?▽

トーラ
「そうじゃ。
 名付けて“システムイド”。▽
 じゃが、もちろん多用は禁物。
 最後の切り札として使うんじゃな。▽

フェイ
「エリィ、先生、
 オレ……。▽

シタン
「フェイ、
 気に病むことはありません。▽
 今のあなたは、
 私達のよく知っている
 フェイじゃないですか。▽
 自分の心に自信を持って……。
 ね。▽

トーラ
「まぁ、信ずるも信ぜずも
 お前さん次第じゃ。▽

フェイ
「……。▽

トーラ
「ん?
 客人かの?▽


トーラ
「お客人かの?▽


シタン
「フェイ、大丈夫ですよ!▽


シェバトからの使者
「フェイ殿……、
 大変でございます!!▽

シェバトからの使者
「今日、シェバトにおいて
 アヴェとキスレブの和平調印が
 行われていたのですが……。▽
 そのシェバトにソラリスの機動兵器が
 近づきつつあるのです!
 是非お力をお貸し下さい!▽

トーラ
「そんなことはこの若者には
 関係の無い事じゃ!!▽

トーラ様!!▽

トーラ
「勝手なことばかりぬかしおって。
 シタン殿から聞いたぞ。▽
 イドのコントロールが
 可能になったと聞いて
 のこのこと現れおって……。▽
 お主等は恥ずかしくないのか?
 “あの頃”から全く変わっとらんな。
 己の立場の保全しか考えとらん。▽

トーラ
「一度はお前を葬り去ろうとした
 こやつらの言うことなんぞ
 聞く必要はないぞ、フェイ!▽

フェイ
「でも……。▽

シタン
「……。▽

エリィ
「行ってあげて。
 マスドライバーには
 私が行くから……。▽

フェイ
「エリィ?▽

エリィ
「以前はどうあれ、今シェバトは
 あなたの力を必要としている。▽
 それは一部の特別な人にとっては
 都合のいいことなのかもしれない。▽
 だけど、国や世界は
 多くの普通の人々の生活があって、
 初めて成り立っている。
 そのことを忘れないで。▽

エリィ
「その生活を守るために
 バルト達は戦っているんでしょ?
 だから、だから行ってあげて!▽

フェイ
「いいのか?
 お前の方はどうするんだ?▽

エリィ
「私のことだったら心配しないで。
 何とかなるから。▽

フェイ
「しかし一人じゃ……。▽

シタン
「私が同行しましょう。
 なに、心配せずとも結構。▽
 私専用のギア・バーラーを
 持ってきてありますから。▽

フェイ
「先生のギア・バーラー……?▽

シタン
「ギア・バーラー
 “E・フェンリル”。▽
 ソラリス守護天使当時に
 本国から持ち出してあった
 ものでね。▽
 いざという時の為に、
 ガスパール師の下に
 預けておいたんですよ。▽

フェイ
「わかった。
 先生、エリィのこと頼むよ。▽

フェイ
「エリィ、気をつけてな。▽

エリィ
「うん。▽

かたじけない、
フェイ殿!!▽

トーラ
「フン!
 勝手にするがいい。▽

フェイ
「場所はイグニスなんだな?▽

はい。
イグニスの都市破壊を目的とする敵は、
ブレイダブリクを半壊させ、
4時間後にはニサン上空に達するものと。▽
シェバトは総力をあげて
これを撃退する構えです。▽

フェイ
「4時間……
 ギリギリじゃないか!▽

トーラ
「なに、心配いらん。
 お前のギアはワシとバルタザールが
 ナノマシンで修復しておいた。▽
 以前より遥かにパワーアップしとる。
 半分の時間で着くはずだ。▽

フェイ
「えっ?
 バル爺さんがいるのか?▽

シタン
「エメラダも
 来ていますよ。▽


フェイ
「こいつは凄い!▽

バル爺
「久しぶりじゃな……。▽

バル爺
「神を滅ぼす者の憑代……。
 まさかわしがまたこいつを
 いじるとはな……。▽

フェイ
「どうして
 トーラ爺さんもバル爺さんも
 俺たちを助けてくれる……?▽

トーラ
「運命……、という言葉では
 片付けられぬ何かが
 あるのかもしれんな。▽
 それはお前さんがその目で
 確かめるがよい。▽

エメラダ
「フェイ……、
 行くの?▽

フェイ
「あぁ、急がないと!▽

フェイ
「あ、どこへっ?▽

シェバトの使者
「フェイ殿、
 お急ぎ下さい!▽

フェイ
「あ、ああ。▽


シタン
「いいんですか?▽
 フェイの為に戦場から離れ、
 共に静かに暮らそうと
 していたのに。▽

エリィ
「私、気付いたんです。
 現実から逃げてるって……。▽
 最初は自分の境遇を
 彼に重ねていた。▽
 フェイなら、
 私の気持ちを理解してくれるかも
 ……って思ってた。▽
 本当に好きだったかどうかなんて
 判らない……。
 父様と母様を亡くして、
 自棄になってたのかもしれない。▽

シタン
「エリィ……。▽

エリィ
「それでも……やっぱり……
 好きなのかな?
 フェイのこと……。▽
 だからもう一度、
 フェイはフェイ、
 私は私に出来ることを
 してみようって思うんです。▽
 一度離れて、そうやって
 見つめなおしてみたいんです。
 お互いを……。▽

エリィ
「そして、確かめたい……。
 自分の本当の気持ちを……。▽

……。▽

シタン
「それにしても変わりましたね、
 エリィ。▽
 この三週間の間に
 何があったんです?▽

エリィ
「そうですか?
 別に私、なにも変わっていないと
 思うけど……。▽

シタン
「いえ、変わりましたよ。
 何か、こう、
 大人になったっていうか…… 。▽
 お母さんのような感じがしますね。▽

エリィ
「もうっ! まだ18ですよ。
 先生のお母さんになれる程、
 歳じゃありません!▽

シタン
「いや、これは失礼。
 なんとなくそんな印象を
 受けただけですよ。▽

エリィ
「それじゃあ先生、
 私、行きます。▽

シタン
「ええ。
 私もここでの用事を済ませたら
 すぐに後を……。▽

エメラダ
「あ、あたしも行く。▽

え?▽

行く!▽

エリィ
「エメラダ、こんな事に人数は
 割けないわ。
 私一人で大丈夫よ。▽

エメラダ
「エリィが行くなら、
 行く。
 絶対行く。▽

エリィ
「エメラダ……?▽

エメラダ
「行くったら、行く!▽

シタン
「良いじゃないですか。
 ソラリスもリミッターの事を
 薄々感づいているでしょう。▽
 何か妨害があるかも知れません。
 あなた一人では心許ないでしょう。
 エメラダの能力はこの仕事に
 うってつけでしょう。▽

シタン
(……それにこの様子じゃ
 とめてもついてっちゃいますよ。▽
 私が行くまでうまくやって下さい。
 ね?)▽

エリィ
「仕方ないわね。
 じゃ、二人で頑張ろうか?▽

エメラダ
「あたし一人でも十分だよ。
 エリィは後ろで見てな。▽


むむぅ……。▽

フムフム……。▽

!!

トーラ
「やはりな……。▽

トーラ
「フェイ達をワシの所まで
 運んできたのはお前だったか……。
 あの二人を見てすぐに気がついたよ。▽
 否、気がつかないはずはないのだ。
 あの頃のお前と……
 彼女にうりふたつなのだからな。▽

トーラ
「のう、ラカン……。▽


「なんだと!?
 生きておるというのか……▽

カレルレン
「ああ。▽

「馬鹿な。
 ラムサスが撃墜したのでは
 なかったのか?▽

カレルレン
「奴が撃墜したギアには
 彼女が同乗していたのだぞ。
 死んでもらっては困る。▽

「“母”ならばおるではないか……。
 たとえ“対存在”としても、
 今の“母”さえおれば……▽

カレルレン
「私にとって、
 それは完全とは言えん。▽

「こだわるな……
 ヒトの情、捨てたのでは
 なかったのか?▽

カレルレン
「下らんな……▽
 奴には再びラムサスを
 差し向ける。
 異存はあるまい?
 現在の場所は判るか?▽

「エテメンアンキは崩壊したが、
 メモリーキューブの機能は
 まだ一部が生きている。
 個々人の場所位ならば特定出来る。▽

「暫し待て……
 撃墜された場所から離れ、
 イグニスへと向かっている
 途中のようだ。▽

カレルレン
「そうか。
 あの地を離れたか……▽
(ということは……
 刻印の解除、
 時間の問題だな……)▽

「何か言ったか?▽

カレルレン
「何でもない。
 まあ、そこで吉報でも
 待っていろ。▽

「娘の回収はどうするのだ?
 鍵が鳴動を始めておる。
 神の復活の時が
 近づきつつあるのだ。▽

カレルレン
「娘の回収はいつでも出来るよ。
 今でなくてもな……。
 いずれは……。▽


イグニスへと向かう途中、
       俺は奴と再会した。

  カーラン・ラムサス……

ラムサスはギア・バーラー
 『ヴェンデッタ』を駆り、
  再び俺の前に立ちふさがった。

避けられない戦いだった。
俺はセカンドに搭載された新機能、
「システム・イド」を解放させた。


ラムサスの
    絶対的な自信は
          砕かれた。

驚きと恨みの声を残し、
 ラムサスの機体は樹海の中に
        消えていった。

何故、奴がここまで俺に
   固執するのかは解らない。

ただ、奴は言った。

お前さえいなければ……と。



    

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