台詞集

脱出! 誰がために君は泣く




フェイ、しっかりしろ!

バルト
「気が付いたか? フェイ?▽
 さぁ! 行こうぜ!▽

フェイ
「……………………
 こ、この野郎!!▽

バルト
「よ、よせ! フェイ!▽

フェイ
「止めるな、バルト!!▽
 こいつは俺達を裏切ったんだ!
 こいつは、俺達を、エリィを!▽

バルト
「よせ! フェイ!
 そりゃお前の誤解だ!▽

フェイ
「放せ!
 放してくれっ!▽

ビリー
「バルトの言っていることは
 嘘じゃない。
 だから落ちついて、フェイ!▽
 僕達を助けてくれたのは
 シタンさんなんだよ!▽

フェイ
「ビリー……!?▽

バルト
「ふう……
 ビリーの言うことなら
 聞きやがる……▽

バルト
「いいか? よっく聞けよ!▽
 俺達の身体に刻まれた
 刻印<リミッター>。
 現時点で、それを解除させる為には、
 この研究施設でしか出来ない!▽
 先生はカレルレン達の目をあざむき、
 俺達をここの施設へと連れ込んで
 リミッター解除の処置を
 してくれたんだ!▽

フェイ
「そんな……▽
 だって今さっき先生は……
 本当なのか?▽

バルト
「ああ!▽

フェイ
「先生?▽

シタン
「あなた方をここに連れてきた
 目的はそれだけじゃありません。▽
 ソラリスからの独立を
 目指そうとしている者は、
 この国の実態を、真の姿を
 知らなければなりません。▽
 誰が、何のために、何を考え、
 何をなそうとしているのかをね。▽

シタン
「私は表向きは、天帝の密命を受け
 法院の望む肉体を持った者と接触、
 データを転送……▽
 可能であればその肉体ごと
 持ち帰る……そういう任に
 就いていました。▽
 結果として、あなた達をだます形を
 とるしかなかった。
 許して下さい。▽

フェイ
「そうだったのか……▽

シタン
「それに私自身も、ここの設備を
 使って……▽
 どうしても確認して
 おかなくてはならない事が
 ありましたしね。▽

フェイ
「確認?▽

シタン
「それはここから無事脱出してから
 教えますよ。▽
 貴方にとっても
 “知らなくてはいけないこと”
 ですから。▽

フェイ
「……?▽

バルト
「ところで先生。
 フェイのリミッターも
 ちゃんと外したんだろうな?▽

シタン
「……え?
 え、ええ……もちろん……。
 それは……▽

バルト
「よし、そうとなったらとっとと
 ここから出ようぜ!▽

フェイ
「待ってくれ!
 エリィはどうした?
 一緒じゃないのか?▽

シタン
「エリィはカレルレンの私研究室に
 連れて行かれました。▽
 流石にそれは止められなかった。
 すみません。▽

フェイ
「何故エリィだけが……?▽

シタン
「わかりません……
 ただ、一つ引っかかることが……▽
 カレルレンによってエリィが
 連れていかれる際、私は偶然、
 エリィの生体情報を入手する
 機会を得ました。▽
 分析してみると、興味深い……
 ……いや失礼、不思議なことに、
 彼女には刻印<リミッター>が
 刻まれていないんです。▽

ビリー
「刻印がないですって?
 それは、エリィが
 ソラリス人だからじゃないですか?▽

シタン
「ソラリス人であっても刻印は
 生まれ持って刻まれています。▽
 例外として、私やラムサス、
 といった特別な者のみが、後々、
 私がバルト達に施した様な処置を
 受け、リミッターを外される。▽
 しかし、それには法院の許可が
 必要とされるのですよ。▽

フェイ
「だからエリィを……?▽

シタン
「それだけではないハズです。▽
 理由は定かではありませんが、
 カレルレンは彼女のデータに
 かなり、こだわっていました。▽

バルト
「理由なんざ、何でも良いさ!
 とりあえず、エリィを助けて
 早いトコずらかろう!▽

ビリー
「そうだね。▽
 ここで僕らがもたついてたら
 先にエリィの
 ご両親を助けに行った連中まで、
 危うくなる。▽

ビリー
「シタンさん、
 では、手はず通りに、僕らは
 カレルレンの私研究室に。▽
 後ほど例の場所で落ち合いましょう。▽

フェイ
「先生は……?▽

シタン
「私にはまだ
 やり残したことがあるのでね。▽
 障壁<ゲート>の最後の一つ、
 それを破壊してきます。▽

フェイ
「先生!
 刀を……?▽

シタン
「……ええ。
 ユイから出しなに渡されたものです。
 彼女と出会う前に使っていました。▽
 ヒトを殺すワザ故に
 永らく自ら封じていたんですが、
 この期に及んで、ひとりだけ
 きれい事も言っていられませんしね。▽

フェイ
「……そうか……
 ……それにしても……▽

シタン
「なんですか?▽

フェイ
「相変わらずヒトが悪いな、
 先生は……▽

シタン
「性分ですね。
 申し訳ありません。▽

バルト
「おう! 先生!
 フェイとエリィの事ぁ
 俺にまかせとけ!▽
 リミッターさえ外れりゃ
 ソラリスなんざ
 しおしおのぱー、だ!▽

シタン
「あ! そうそう、若くん、
 リミッター解除の効果は
 そんなすぐに出ませんよ。▽
 あなた方の身体的なリミッターは
 すでに自然に外れていました。▽
 私が外したのは、精神的な方、
 つまり、無意識に法院や天帝を
 おそれ、うやまう、その部分です。▽
 単に、思う存分戦えるように
 なっただけで、いきなり強くなった
 わけではないですから。▽

バルト
「ま……マジ……すか?▽


ビリー
「シタンさんの話によると
 この下が
 カレルレンの私研究室です。▽


フェイ
「エリィ!!
 …………
 大丈夫か?▽

エリィ
「フェイ……
 …ええ……ええ、大丈夫よ。▽

バルト
「お二人さん、悪ぃが
 再会の感動に浸ってるひまぁ
 なさそうだぜ。▽

ビリー
「さぁ、早くこちらへ。▽


ジェシー
「おせぇよ!
 こちとら弾には限りがあるんだ。▽
 とっととこいつを
 爆破しちまってくれ!▽

シタン
「申し訳ありません。
 ちょいと野暮用で。▽

ジェシー
「……
 で、なにやってたんだ?▽

シタン
「陛下のところに……ね。▽

ジェシー
「天帝のトコか……?
 いいのか? ヒュウガ……?▽

シタン
「ええ。
 陛下は理解してくれました。▽
 ……後は,
 “彼ら”に任せよう……と。▽

シタン
「よし! 終わった!!
 先輩!!▽

ジェシー
「……っしゃ!
 ずらかるぞ!!
 ……ん!?▽

ラムサス
「奴はどこだ……?
 ヒュウガ……▽

シタン
「……カール……?▽

ラムサス
「貴様も……この俺を、
 裏切るというのか……▽

シタン
「カール、私と貴方とでは立つ場所が
 違うだけです。
 裏切った訳ではありません。▽
 私はフェイ達といようと……
 そうきめたんです。▽

ラムサス
「フェイだと!
 き、貴様もフェイか!▽
 奴を……貴様も奴を……
 許さん、許さんぞ!▽

ジェシー
「カール、敵同士とはいえ、
 小僧っ子一人に何故そこまで
 執着する!?▽
 昔のオメェはそんなじゃ
 なかったぜ!▽

ラムサス
「黙れっ!
 奴だけは俺のこの手で……▽
 ……その奴の下に行こうとする
 貴様等は敵だっ!
 “俺のもの”を奪う敵だっ!
 敵だっ!!敵だっ!!敵だっ!!▽

シタン
「カ、カール……▽

ジェシー
「お、おい。行くぜ!▽
 何があったか知らねぇが、
 奴に構っている暇はねぇ!▽

シタン
「しかし……▽

ジェシー
「ヒュウガ!!▽

シタン
「……わかりました……▽


ラムサス
「この、裏切り者ぉっ!!▽


エメラダ
「あ! フェイだ!!
 フェイのキムが来た!!▽

エリィ
「父さま!
 母さま!▽

メディーナ
「エリィ!!▽

リコ
「ちょっとはハマーに
 感謝してくれよ!▽
 ハマーの野郎がうまいコト
 連れてきてくれたんだ、
 あんたの両親を。
 なぁ、ハマー!▽

ハマー
「え? ええ、
 ええ、そのとおりっス……▽

エリィ
「あ、ありがとう、ハマー。▽

エーリッヒ
「私たちからも礼を言わせてもらうよ。
 また娘に会えるとは思わなかった…▽
 ありがとう、ハマー君。▽

シタン
「さぁ、みなさん、
 ぐずぐずしているヒマはありません。▽

シタン
「目立たないように
 二組に分かれて行きましょう。▽
 フェイ、ご苦労ですが、
 誰かふたり連れて先行して下さい。▽
 ここから南西の方向へ進んで、
 連絡可動橋を二つ越えれば、
 外へつながる格納庫へ出ます。▽
 そのそばの陸橋あたりで
 落ち合いましょう。▽
 青いメモリーキューブに
 話しかけると、
 他のメンバーと連絡が取れて、
 同行人が代えられます。▽

ジェシー
「ゲート壊しのついでに
 あちこちの警報機は黙らせたが、
 まだまだ危険だ。気をつけろ!▽

エーリッヒ
「私は先に格納庫へ行って
 何か乗り物を準備しておくよ。▽
 今ソラリスは混乱しているから
 私ひとりなら、“顔”で
 なんとかなるだろう。▽

シタン
「……わかりました。
 無理はなさらないで下さい。▽

エーリッヒ
「ああ、わかっている。▽

エーリッヒ
「エリィ、メディーナ……
 また、後でな。▽

メディーナ
「あなた……
 お気をつけて……▽

エリィ
「父さま……▽


エリィ
「早く、父さまと母さまを
 安全な場所に……!▽


シタン
「フェイ、急ぎましょう!!
 こんなところ、すぐに見つかります!▽


バルト
「ずらかれるうちに
 ずらかろうぜ!▽


リコ
「ソラリスのくそったれども……
 これで少しはこりたろう……▽


ビリー
「最後まで気を抜いてはだめです。
 僕らは帰らないと!!▽


エメラダ
「フェイのキム!
 一緒に行こう! 一緒に行こう!▽


チュチュ
「巨大化してないから、
 何かモノ足りないでちゅ。▽


ジェシー
「昔は、こんな国じゃなかった
 ような気もするが……▽
 いや、俺が若すぎただけだろうな……▽


メディーナ
「フェイさん、
 これで私たちも
 あなたと同じ立場ですね。▽


ハマー
「は、は、早く、逃げるっス……
 うん、逃げるっス。▽
 そうだ!▽

 逃げる前には、きちんと準備。
 ハマー最後の閉店セエルっす。

→アイテムっす。
→アクセサリーっす。


エリィ
「よかった……
 みんな無事で……▽
 父さまは大丈夫だったかしら……?▽


シタン
「格納庫はこのすぐ先です。▽


バルト
「なんとか、来れたみたいだな。▽


リコ
「おおっし!
 もう少しだぜ、ハマー!▽


ビリー
「このまま、無事帰れたら……
 プリム達は息災だろうか……?▽


エメラダ
「出口! 出口! 出口!▽


チュチュ
「ううっ、
 空が青いでちゅ……▽


ジェシー
「最後の最後だ。
 気ぃ抜くなよ!▽


メディーナ
「ソラリスとも、
 お別れになるんですね……▽
 なんであろうと、やっぱり
 生まれ育ったところですから……▽


ハマー
「来ちゃったっす、
 ここまで、来ちゃったっす……▽


ハマー
「と、止まるっす!!!▽

ハマー
「え、エリィさんには
 このまま、俺っちと一緒に
 戻ってもらうっす!!▽

エリィ
「な、何をするの?
 ハマー?▽

ハマー
「動いちゃだめっす!
 本気っすよ! 俺っち!!▽

フェイ
「バカなことはやめろ!
 何があったんだよ? ハマー!?▽

ハマー
「カ、カレルレンさんという人と
 約束したっす。▽
 エリィさんを連れ戻したら、
 “変えないで”くれるって……▽

リコ
「ハマー!! てめぇ!!!▽

ハマー
「お、俺っちだって
 ホントは、だ、大好きなエリィさん
 に、こんなことしたくないっす。▽
 でもでも、こうしなきゃ俺っちは…
 俺っちは…。
 俺っちにはこうするよか
 ないんすよ!▽
 だって、俺っちには、
 何もないんすから……
 兄貴のように腕っ節が強い訳でも、
 先生様のように賢い訳でも無いんす!▽

ハマー
「わ、解ってるっすよ。
 みなさん、俺っちのことなんか……▽
 …どうせシタ先三寸、足手まといの
 便利屋程度にしか思ってないって
 ことぐらい………
 …それくらい………▽

リコ
「ハマー……▽

ハマー
「俺っちは兄貴達とは違うんすよ!
 兄貴達みたいに“特別”じゃ
 ないんす!▽
 俺っちみたいな“普通”の人間は
 こうするしかないんす!!▽

ハマー
「う、動いちゃ、だめっす!!
 止まるッす! 止まるッす!▽

メディーナ
「止まりません。
 止まりませんとも。
 ……我が子が危険な時ですもの…▽
 私は、
 ごく“普通”の母親ですから!!▽

ハマー
「……ひ……▽

メディーナ
「私はごく普通に生まれ育った女です。
 夫や娘のように軍人でもない。▽
 鉄砲なんて、さわったこともない。
 ましてそれを向けられた事なんて…
 その証拠に、私は今、
 がたがたふるえています……▽
 でも、止まるわけにはいかない。
 私はごく“普通”の母親ですから。
 “普通”だからこそ、
 守らねばならないモノがあるから……▽

メディーナ
「エリィ、
 ゆっくりとこちらへ来なさい。▽
 大丈夫です。
 何があっても貴方は私が守ります。▽

エリィ
「か……母さま……▽

メディーナ
「エリィ、
 こちらへ来なさい。大丈夫です。▽

ハマー
「……だめっす!
 動いちゃあ、だめっす!
 だめっす!▽

メディーナ
「大丈夫です、エリィ。▽

エリィ
「フェイ!▽

ハマー
「……だめっす!
 行っちゃあ、だめっす!
 だめ……っす……▽

ハマー
「……だ……だめッスよぉ……
 行っちゃあ……だめッスよぉ……▽

エリィ
「母さま!?▽

ハマー
「……ひ…………ひぁ………
 ひぁぁあああ………あ……あ…▽

ハマー
「…うわぁぁあああああああ▽

エリィ
「母さま?▽

エリィ
「……母さま……
 かあ……さ……ま……▽

エリィ
「かぁさまぁぁぁあああ


グラーフ
「その娘、置いていってもらおう。▽

フェイ
「グラーフ!
 畜生! こんな時に何故奴が!▽

フェイ
「……みんな、やるぞ!▽


グラーフ
「なかなかやるようになったモノだな。
 ……しかし!!▽

処刑人
「あら……?▽

エーリッヒ
「ここは私が引き受ける!
 皆、早く逃げなさい!▽

エリィ
「父さま!▽

処刑人
「ふふふふ……夫婦そろって
 子ボンノウなこと……▽

エーリッヒ
「ぐ、ぐわぁ!▽

エーリッヒ
「え、エリィ……
 早く行きな……さい……▽
 エリィ、何があろうとも、
 信じるに足る理であるならば
 振り返らずに行きなさい。▽
 その為ならば、私達は
 喜んでそのいしずえとなろう。
 それが私が出来る
 せめてものつぐないだ……▽
 エリィ……
 誰が何と言おうとも、
 お前は私とメディーナの間に
 生まれた娘だよ……▽
 だから……▽

エリィ
「父さま!!!▽

処刑人
「あら、少し力が入りすぎたかしら?
 お別れを言うヒマも無かったわね。▽
 でも、大丈夫。
 すぐ向こうで会わせてあげるわ……▽

エリィ
「………………
 ……よ、よくも……父さままで……!▽

処刑人
「……非覚醒状態でそれだけの
 エーテル制御が出来るなんて
 流石ね。▽
 だけど……▽

エリィ
「きゃあぁああああ!!

リコ
「ぐわぁ!!

ビリー
「うわ!!

バルト
「ぐわぁぁ!

エメラダ
「わわわあ!!

チュチュ
「きゅわわわわ!

フェイ
「ぐ……!
 エリィ……
 みんな……▽


くくく……

……お前は眠っていろ。


フェイ
「うわああああああああっ!!!!▽


シグルド卿!!
格納庫で、ギ、ギアが、ひとりでに……▽

シグルド
「何だ?
 正確に報告しろ!▽


ラムサス
「来い、来い、来い、来い、来い、
 この悪魔め……
 今度こそ殺してやる!!▽

ラムサス
「来た、来た、来た、来た……
 ふふ……ふ……
 わざわざ殺されに来た……ふふふ…▽
 …………ぅ、うがぁああああ!!▽


カレルレン
「現れたな……▽

処刑人
「ええ。
 かなりハッキリと。▽
 今までみたいな中途半端な
 ものじゃないわ。▽

ミァン
「今度はそう簡単にはステージから
 おりないでしょうね。▽
 フェイの精神的エネルギーも
 かなり弱まっていたみたいだし、
 それに……▽
 “昔と”状況も似ていたしね……▽

ミァン
「ふふふ……▽

カレルレン
「何がおかしい?▽

ミァン
「時を経ても想う気持ちは変わらない。▽
 あなたも
 心中複雑といったところかしら?▽

カレルレン
「ふっ、くだらんな。▽
 ところでラムサスはどうした?▽

ミァン
「彼女を連れ戻させようという訳?
 少し遅かったわね。
 カールなら出た後よ。▽

カレルレン
「まったく余計な手間を……
 と、言いたいところだが
 まあよかろう。▽
 これでより制御が確実になったと
 思えば……な。▽
 それにしても……▽

ミァン
「なに?▽

カレルレン
「勝てもしない戦い、
 よくも続けられるものだ……▽

ミァン
「それが目的でしょう?
 そうしむけたのは私だけど……▽
 でも、あと少しね。
 唯一の成功例。
 大事にしましょう。▽

カレルレン
「何処までが本意か、解せぬ女だ。▽

カレルレン
「行くぞ。
 ここもじき崩壊する。▽

ミァン
「そうね。▽
 カールも
 “助けてあげないと”……ね。▽


エリィ!
大丈夫ですか? エリィ!▽

シタン
「エリィ?
 気がつきましたか?▽

エリィ
「……▽
 ……先生……マリア……?▽

バルト
「空に放り出された俺達を
 助けてくれたんだ。▽
 他の連中も先に回収されて
 ユグドラにいる。▽

エリィ
「そう……▽
 ……フェイ……?
 ……フェイは?▽
 フェイも、
 もうユグドラシルにいるの?▽

エリィ
「ソラリスが!!
 ……あの赤いギアは……!▽
 いったい何が起きているの!先生?
 先生!!フェイは?▽

シタン
「落ち着いて、エリィ。
 フェイは……無事です。▽

エリィ
「じゃあ、もうユグドラシルにいるの?▽

シタン
「落ち着いて聞いて下さい、
 エリィ。▽
 あのギアにはフェイが乗って
 いるんですよ。
 あれはヴェルトールの変化した、
 真の姿なんです。▽

エリィ
「なんですって!!▽

シタン
「彼の内に眠る、もう一人の
 フェイが目醒めたんです。▽
 フェイとイドは
 同一人物なんですよ……▽

エリィ
「!?▽
 嘘でしょ!?
 そんなこと信じられない!▽

バルト
「嘘じゃないんだ……▽
 俺達はその光景をこの目で見た。
 あいつがイドに変わっていく、
 そのさまを……▽


フェイ
「……やめろ! やめてくれ!!▽

フェイ
「うわぁぁあぁあああああああ!!!▽


エリィ
「フェイがイド……
 そんな…………▽


シタン
「早くここから退避して下さい!▽
 成層高度から落着する
 ソラリスのエネルギーは
 反応兵器にも匹敵しますっ!▽


バルト
「巻き込まれちまう!?▽
 急げ!!
 ユグドラシル!!▽


バルト
「……………………
 ……ふぅ……▽
 なんとか……
 こらえ切れた……な……▽

バルト
「な、なんだ?▽

バンス
「れ、例の赤いギアが……!!
 こっちに!!!!▽

バルト
「やっべぇ!▽
 こっちに気づきやがった!!▽


シタン
「……エリィ?
 ……!▽

バルト
「先生!
 どうする? どうすればいい?▽

シタン
「え?
 ええ……どうすればと言われても…▽

バンス
「甲板に誰かいる……
 あれは……エリィさん!?▽

バルト
「何だって!▽


シタン
「いけない、エリィ!!
 すぐに戻りなさい!!▽

エリィ
「私がやります。
 いえ、やらせて!▽

シタン
「無茶です!▽

エリィ
「わかっています……▽
 でも、いつかフェイが
 身をていして
 私を救ってくれたように……▽
 今度は私がフェイを
 救わなければ……
 そのためなら私、どうなっても
 構いません!▽

シタン
「エリィ……▽


エリィ
「……フェイ▽

イド
「フフ……、お前か。
 殺されに来たのか?▽

エリィ
「……ええ。
 それであなたの気が済むのなら
 私を殺せばいいわ。さあ……▽

イド
「フン……
 いい子だ……
 では、死ね!▽


イド
「!?
 離せ……▽

エリィ
「くっ……
 フェイ……
 わ、私は絶対離さない!▽

エリィ
「フェイ……
 お願い、元のフェイに
 戻って!!▽

イド
「うぼぁっ!!
 な、何っ!?▽


エリィ
「うあぁうあぅああぁ…▽
 フェイ!
 お願いっ!!▽


イド
「チッ……
 ……この女
 やはり……▽

フェイ
「……うう……
 エ……リ……▽

イド
「……クソッ……
 ヤツが…目覚…た…▽


シタン
「すみません。▽
 はっきりしたことが
 判るまではね、黙って
 おきたかったんです。▽
 私はソラリス天帝カインから、
 フェイを監視するという
 密命を受けて、行動して
 いたのです。▽
 フェイが世界を滅ぼす者で
 あるかそうでないかを見極めて
 欲しいと、そう私は
 指示されていたのですよ。▽
 “接触者”……。
 天帝は、フェイのことを
 そう呼んでいました……▽


天帝
「これがお前の結論か……▽

シタン
「そうです。陛下。
 私なりに導き出した答えです。▽

天帝
「アーネンエルベ……
 なせるというのか?▽

シタン
「はい。▽
 ヒトにはその可能性があります。
 もはや管理者は不要なのです。▽

天帝
「“接触者”
 仇とならぬと?▽

シタン
「はい。▽
 陛下の仰る通り、
 フェイが
 そうであるのならば……▽

天帝
「ならばたくそう……。▽
 それが私に出来る
 しょく罪なのだ……▽


シタン
「“アーネンエルベ”……。▽
 この世界に生まれた人々と共に
 新たな地平へと歩み進む、
 来るべき神の人。▽
 それは“接触者”の運命。
 天帝はフェイをそう呼んで
 いました。▽
 何故フェイのことを
 そう呼ぶのかは
 教えていただけませんでしたが。▽

シグルド
「一体彼は何者なんだ?▽

シタン
「彼はフェイです。▽
 そしてエルルを破壊、
 カールに重傷を負わし、
 ユグドラシルを沈め、
 キスレブでリコの部下を…▽
 これ以上言う必要はないでしょう。
 彼は……イドです。▽

シグルド
「なんだって!?
 イド!?▽

ジェシー
「どういうこったそりゃ?▽

シタン
「彼は……フェイはね、
 解離性同一性障害、
 つまりは多重人格者なのですよ。▽

ジェシー
「か、かい?▽

シタン
「解離性同一性障害、多重人格。
 一人の人間が同時に複数の人格を
 持つという一種の精神障害です。▽

シグルド
「まさか、
 そんなことが現実に……。▽

シタン
「あるんです。
 フェイの存在自体が
 その証拠です。▽
 私は、『イド』という破壊者と
 しての人格を内に持ったフェイを
 ずっと見守ってきました。▽

シタン
「最初の頃は安定していたんです。▽
 ラハンで暮らしていた3年間は、
 全くといって良いほど
 フェイの解離は起こらなかった。▽
 だが、それ以後、ラハンが
 襲われてからは違った。
 少しずつではありましたが、
 解離の回数と時間は増えていった。▽
 そしてソラリスでの完全な
 イドの発露が起きたのです。▽

シグルド
「何故そうなってしまったんだ?
 ラハンに居た時は
 大丈夫だったのだろう?▽

シタン
「恐らく……これは本当に憶測ですが
 グラーフの出現がフェイに影響を
 与えたのではないかと思います。▽
 先輩はご存じでしょうが、
 フェイはラハンに住む以前は
 暗殺者イドとしてグラーフと
 行動を共にしていた。▽
 ドミニアの故国、エルルが
 潰滅されたのはその時です。▽
 グラーフは意図的にフェイの内……
 否、正確には内ではないのですが、
 イドを発露させようと
 していました。▽

ジェシー
「何の為に?▽

シタン
「神を滅ぼす為……グラーフは
 そう言ってました。
 それ以外は私にも判りません。▽
 ただ、はっきりと言えることは、
 グラーフはイドの発露はうながして
 いたのですが、そのコントロールは
 出来ていませんでした。▽

シグルド
「つまり持て余していたという訳か?▽

シタン
「ええ。▽

ジェシー
「はっきりしたことが判るまでと
 言ってたな?
 あれはどういう意味なんだ?▽

シタン
「それをこれからお話します。
 そこが最も重要な点なのです。▽


シタン
「……貴方にはどうすることも
 出来ないんだ。▽

イド
「良く解っているじゃないか。
 流石はシタン……いや、
 先生と呼んでいたな。▽

シタン
「会いたかったですよ、イド。
 会ってあなたと話をしたかった。▽
 それもこの脳神経と身体との
 伝達を機械的にしゃ断するこう束具の
 おかげですね。▽
 ところでフェイは今、
 どうしています?▽

イド
「フェイ?
 どのフェイのことを
 言っている?▽

シタン
「フェイが
 何人もいるのですか?▽

イド
「…………。▽

シタン
「イド?▽

イド
「あいつは、お前達が
 フェイと呼んでいる
 奴は寝ているよ。▽

シタン
「寝ているのですか?▽

イド
「あいつは俺が目醒めている間は
 寝ているんだ。▽
 だから俺が何をしているのか
 全く知らない。▽

シタン
「何故知らないんですか?▽

イド
「当然だろう。
 あいつは俺の支配下に
 あるんだからな。▽
 俺の記憶を見ることは出来ない。
 もともとあいつは存在しないはずの
 フェイ。▽
 あの男によって無理矢理
 作り出された人格。▽
 臆病者の部屋の間借り人さ……。▽

シタン
「あの男?▽

イド
「俺達の父親。
 カーンだ。▽
 あの男は俺の人格そのものを
 意識の深層に封印した。▽
 どういう方法でかは判らんがな。
 今のフェイはその時
 生まれたんだよ。▽

シタン
「臆病者とは誰のことを
 指しているんですか?▽

イド
「…………。
 奴のことを聞いてどうしようって
 いうんだ?▽
 お前に何か出来るとでも
 思っているのか?▽

シタン
「あなたのような、本当の
 多重人格者と話が出来るんです。
 滅多にあることじゃない。▽
 学問の徒として非常に興味深い
 実例です。▽

イド
「ひどい友人を持ったものだな
 フェイも。▽
 気に入ったよ。先生。
 だがあんな奴のことはどうだって
 いいんだよ。▽
 所詮はでき損ない。
 “フェイという存在”の主たる
 資格もない臆病者だ。▽
 全ての現実から逃げだした
 見下げ果てた奴。▽
 俺に支配されても、何一つ
 言い返そうとしない情けない奴。
 生きることを拒否した臆病者だ。▽
 消えてしまえばいい!
 なのに何故奴は存在する!▽
 何故消えない!▽
 畜生……、俺と同じ身体に存在する
 というだけで虫酸が走る……。▽

シタン
「話題をかえましょう。▽
 何故、あなた方の心は分かれて
 しまったのか、それを教えて
 欲しいんです。▽
 現時点での管理者であるあなた
 ならば、それを知っている
 でしょう?▽
 人の心が完全に解離してしまう事は
 普通ではありえないことだ。▽
 過去に何か大きな精神的外傷と
 なるような出来事でもなければね。▽

イド
「俺に思い出話でもしろというのか?
 勘違いするなよ。▽
 俺は、お前に質問の機会なぞ
 与えちゃいない。▽
 こう束具でこう束されているからと
 いっていい気になるな。▽
 この程度のこう束、その気になれば
 すぐさま打ち破って、お前をくびり
 殺すことだって出来る。▽
 そのことを忘れるな。▽

シタン
「では何故やらないんです?▽

イド
「…………。▽

シタン
「かわりにお答えしましょうか?▽
 あなたはフェイを
 コントロール仕切れて
 いないんでしょう?▽
 完全にはせい服出来ていないんだ。▽
 たとえ今ここで、このこう束を
 打ち破ったとしても、それには
 多大な精神的エネルギーを
 消費してしまう。
 フェイの人格を御せていない
 あなたは、精神的エネルギーの
 消費によって、▽
 再びフェイの人格に
 取って代わられてしまい、▽
 ステージからおりなくては
 ならない。▽
 当然次に発露出来る日は判らない。
 だからやらない。▽
 違いますか?▽

イド
「本当に良く解っているじゃないか。
 そう、確かに俺は、あいつを……▽

シタン
「どうしました? イド。▽

イド
「貴様に無理矢理ステージに
 立たされたからな。▽
 あいつが目醒めやがった。
 だがな、本来ならば、
 俺はもう自分の意志でステージに
 立つ事が出来るんだ。▽
 だが依然果たせない。
 これはあの女のせいだ。▽
 あの女の存在がフェイを
 のさばらせている。▽

シタン
「それはエリィの事ですか?▽

イド
「あの女は……同じだ。みんな。
 だから……消し去ってやる……。▽

シタン
「解らない。
 私には解りませんよイド。▽

イド
「解る必要なんてない。▽
 ただその時が来たらあるがままを
 受け入れればいい。
 現実と死をな……。▽

イド
「じゃあな。
 貴様も、いずれ消してやる……。▽


シタン
「現在のフェイの人格は、
 父親によって、何らかの方法で
 その情動部分を封印され……▽
 まっさらとなったイドの人格の
 基礎部分……コンピューターに
 たとえるなら、OSに相当する部分の
 上に構築された模擬人格なんです。▽
 であるが故に、フェイには
 過去の記憶がないんです。
 イドとして生きてきた十年あまりの
 時間はイドが管理している記憶。▽
 イドが封印される前には
 存在していなかった今の
 フェイが知るはずがない。
 イドが記憶を渡さない限りね。▽
 現在のフェイの人格は、
 ラハンでの3年間の生活の中で、
 人の反応を学習することによって
 獲得された未発達の人格なんです。▽
 だから突発的事態や情動に対して
 対処しきれなくなるんですよ。▽
 エリィ、フェイと
 一番長い時間、行動を共に
 していた貴方なら、
 解るんじゃないですか?▽
 彼は精神的に不安定な時が
 ままあったでしょう?
 そううつが激しかったり、
 突然激昂してみたり……。▽

エリィ
「………。
 ええ……。▽

ジェシー
「彼の現在の人格は、
 かりそめのものだってのか?▽

シタン
「そうは言ってません。
 現在のフェイはそれは
 それで一つの人格ですからね。▽
 ただ、構造上はイドの部分を
 基礎として構築されていますから
 下位の人格である訳なんです。▽
 だからイドが発露している時は
 その記憶がない。▽

ジェシー
「だったら、いつかイドに
 飲み込まれるってことも
 あるんじゃねえか?▽

シタン
「ええ、イドとフェイ
 だけならね。だがどうやら
 そうではないらしい。▽
 イドはフェイの精神的
 エネルギーが弱まったときに
 発露する。▽
 上位人格であるはずのイドが、
 下位人格であるはずの
 フェイに、抑制されている
 こと自体がおかしいんですよ。▽
 フェイには明らかに
 第三の人格が存在する。
 臆病者とイドが呼ぶ存在。▽
 私はね、この臆病者と呼ばれる
 人格こそがフェイ本来の
 人格なんじゃないかと思うんです。▽
 イドの発露はフェイによって
 制限されているのではなく、
 彼が臆病者と呼ぶ人格によって
 抑制されているのではないかと。▽

ジェシー
「……ってことは、
 つまりどうなんだよ?▽

シタン
「イドはこの臆病者を憎み、
 さげすむと同時に、
 明らかに恐れている。▽
 そしてある意味において、この
 臆病者は現在のフェイの
 表出を手助けしているとも
 とれる訳です。▽
 どういった原因があってこの
 第三の人格、いえ、フェイ
 本来の人格が表出しないのかは
 判りませんが……▽
 これが目醒めればイドとの合一
 ……つまり元の一つの人格に戻れる
 可能性も出てくるのではないかと
 私は確信したんです。▽

ジェシー
「そりゃ確実なのか?▽

シタン
「恐らく。
 ですが、一体どうすれば目醒め
 させられるかまでは判りません。▽
 それを聞き出す前に、再びイドは
 引っ込んでしまいましたし、
 その後があれですからね。▽
 基本的にフェイ自身の
 存在が虚ろになるような出来事
 さえなければ、フェイは
 フェイでいられる訳です。▽
 しかし、彼をとりまく周囲が
 それを許さないでしょう。
 平穏な場所で暮らせるのが
 一番なんですが……。▽


あやつはラカン……いや、
黒衣の男、グラーフの再来だ!
即刻封印せねば、いかな事態を
引き起こすか判ったものではない!▽

ゼファー
「お止めなさい!▽
 せめてワイズマンが戻ってから
 決議をしてもよいのでは
 ないですか?▽

軍師とはいえ、何故それ程
あの男に?▽
カーン亡き後、女王たっての
取り立てということで黙って
おりましたが、本来あのような
素性の知れぬ者を何故?▽

ゼファー
「それは……▽

現実をしかと見るべきです!
あの力の存在を!▽

バルト
「ちょっと待ってくれ。
 グラーフの再来ってのは
 どういうこった?▽

崩壊の日はグラーフによって
もたらされたのだ。
グラーフがディアボロスを操って、
この世界を壊滅させたのだ。▽
そしてイドの力は、あまりにもその
グラーフに似すぎている。
そんな危険な存在を野放しには
出来ない。▽
即刻カーボナイト凍結に
するべきだ。
でなければいつまた……。▽

エリィ
「そんな!
 だって今のフェイは
 フェイなんでしょ?▽
 だったら……▽

だが彼は危険過ぎる!
考えても見たまえ、
あのソラリス帝都を、単独で
破壊してしまったんだぞ!▽
野放しには出来ん!▽

ジェシー
「それだけじゃねぇな。
 過去、奴<イド>によって
 潰滅された都市は数しれない。▽
 目的は判らねぇが、それには必ず
 グラーフとカレルレンが
 絡んでいた。
 その一つがエルル。▽
 エレメンツのドミニアの故郷だ。
 ソラリスに反逆したエルルの粛清は
 イドによって行われた。
 その能力を見極めるためにな。▽
 結果、エルルだけでなく、その場に
 居合わせたソラリスの部隊も
 全滅だったが……。▽

バルト
「あいつはユグドラを……
 俺達を……▽

リコ
「下水道でやられた、
 俺の手下連中も、
 やっぱりヤツに……▽

エリィ
「みんなどうして!?
 仲間でしょ!?▽

シタン
「どうやら皆さんの意見は
 一致しているようですね……。
 リスクが、大きすぎます。▽

エリィ
「先生!?
 そんな……
 ひどすぎるわ!▽

ゼファー
「………。▽

決まりですな。
それでは、あの男は翌日に
カーボナイト凍結処理とする!!▽


フェイ
「話ならさっき先生から
 聞いたよ。
 イド……か。▽
 ……俺の中に、もう一人の
 俺がいるなんて……。▽

エリィ
「でも、今のフェイは
 私の知ってる
 いつものフェイよ。▽
 ちゃんと元に戻れたじゃない。
 だから、そんなに
 思い詰めないで。▽

フェイ
「俺は、かつてこの世界全てを
 潰滅させた、グラーフの
 再来なんだそうだ。▽
 グラーフは元はラカンという
 地上人だったらしい……。▽

エリィ
「そんなの出任せに
 決まってる!▽
 あの人達は、単にあなたの
 力を目の当たりにして、
 混乱しているだけよ!▽

フェイ
「グラーフは以前俺を
 神を滅ぼす者と呼んだ。▽
 今なら……その言葉の
 意味が解る気がするよ。▽
 俺<イド>の力が少なくとも
 グラーフと同質のもので
 あるのなら……俺は……。▽

エリィ
「逃げよう?▽
 グラーフが、戦いの場が
 イドを引き出すのなら、
 二人で戦いのないところに
 行こう?▽

フェイ
「そんなことしたら
 お前の立場は……▽

エリィ
「いいの……。
 私にも、もう帰る場所は
 ないから……▽

フェイ
「ありがとう、エリィ。
 でもだめだ。▽
 たとえ戦場から離れたからと
 いってイドが現れないという
 保証は何処にもない。▽
 それに……。
 俺はエリィを殺そうと
 した……。
 それでもお前は平気なのか?▽

エリィ
「本気で私を殺そうとして
 いたなら出来たはずでしょ?▽
 だってイドの、もう一人の
 あなたの力はあんなものじゃ
 ないもの。
 でもあなたはそれをしなかった。▽
 すんでのところで外してくれた。
 それって今のあなた自身の意志が
 働いているってことじゃ
 ないかしら。▽

エリィ
「それに……、もしあなたがイドに
 支配されて、周囲の人全てを
 敵にまわすことになっても……▽
 私だけは一緒にいてあげる。
 ……だって……
 だって……一人じゃ
 寂しいものね。▽


エリィ
「いま開けるわ。
 行きましょう、
 フェイ。▽

フェイ
「エリィ……。▽


そろそろ来る頃なんじゃないかと
思ってましたよ……。▽

エリィ
「止めても無駄ですよ。
 邪魔をするなら
 たとえあなただろうと……!!▽

シタン
「女性がそんな物騒な言葉使いを
 してはいけませんよ。
 私は見送りに来ただけです。▽

?

シタン
「ヴェルトールの補給は
 済ませておきました。
 いつでも発進できます。▽

エリィ
「……先生。▽

シタン
「……しかし、エリィ、
 あなたのギアは修理中で使えません。▽

エリィ
「え、じゃあ、あたしは……?▽

シタン
「例のギア・バーラーがあるでしょう。
 あれを拝借すれば……。▽

フェイ
「そんな。
 シェバトのものを
 勝手に持ってくなんて……。▽

シタン
「あの機体の適合者はエリィ
 しかいません。▽
 どうせだれも乗れないのですから
 同じことです。▽

いや……。▽

エリィ
「いやっ!!
 あれにだけは絶対乗りたくない!!▽

フェイ
「エリィ……?
 どうしたんだ?▽

エリィ
「なんかとても怖いの……、
 だから、だから絶対いや!!▽

シタン
「困りましたね……。▽

仲良く相乗りってのは
どうだ?▽

フェイ
「みんな……?▽

バルト
「すまねぇ……、フェイ。▽

ビリー
「ごめんなさい……。▽

マルー
「ごめんね……。▽

フェイ
「いや……。
 ありがとう、みんな。▽

シタン
「ささ、名残おしいのは
 分かりますが夜が明けないうちに。▽
 レーダーに細工を
 しておきましたから
 大丈夫だと思いますがね!▽


シタン
「……行ってしまいましたね。▽

エメラダ
「フェイ……どこ……▽

シタン
「フェイたちは
 遠くへ行ってしまったのですよ。▽

エメラダ
「私……行く……▽


「カインめ……
 ヒュウガごときと
 下らぬ茶番を仕組みおって……▽

「数値化されることによって
 より高度な論理的思考を得る
 こととなった我々とは
 やはり違うな……。▽

「カインはヒトの形に
 とらわれすぎている。▽

「それにしても……。
 ただの一機でエテメンアンキを
 破壊してしまうとは……。
 奴の力、あなどれん……。▽

「最早、我々には時間がない。
 鍵だ、鍵を使うのだ……。▽

カレルレン
「流石にすこし
 肝を冷やしたか?▽

「カレルレンか……。
 カインの様子は?▽

カレルレン
「いつもの延命処理中だ。
 あと少しは……保つだろう……。▽

「間に合わぬ可能性も
 ある訳か……▽

カレルレン
「どうかな……▽
 ところで、鍵を使うと
 言っていたが?
 奴を消せる保証でもあるのか?▽

「それは判らん。
 相手が相手だ……▽

「奴が“接触者”であるならば
 変異しない可能性もある。▽

「代を重ねた生命体。
 確率の問題だ。▽

「だからといって、
 手をこまねいている
 訳にもいかぬ。▽

「左様。
 このままでは過去の失敗の繰り返し。
 二度目のつまづきは許されぬ。▽

カレルレン
「まあ、そう焦るな。
 奴のもとには
 ラムサスを向かわせた。▽

「あのような出来損ないに
 何が出来る?▽

「エテメンアンキの防空すら
 満足に出来ぬ“塵”になぞ
 何も期待出来ぬのではないか?▽

カレルレン
「“アニマの器”、
 渡してもか?▽

「“器”だと……?▽

カレルレン
「以前から回収済みであった
 器の一つと奴のギアを
 同調させた。▽
 これならば、
 文句はあるまい。
 奴も真の力を
 発揮出来るはずだ。▽

「お前自ら手を下すというのか?
 転生しているとはいえ
 あれはかつての仲間であろう?
 解らぬ奴よ。▽

カレルレン
「ヒトの情などという感情は
 とうの昔に捨て去った。
 今の私に必要なのは“彼女”だけだ。▽

「それすらも、
 情ではないと言うか。▽

カレルレン
「……当然だ。▽

「虚勢ではないと……▽

カレルレン
「しつこいぞ。
 今、この場で消されたいか?▽

「まあいい。
 そうしておくとしよう。▽


ラムサス
「エレハイム……だと?

カレルレン
「そうだ。 場所はここだ。
 お前には彼女を連れ帰ってきて
 もらいたい。
 私にとって大切な女性なのでな。

ラムサス
「ふざけるな。 何故この俺が貴様の
 手足とならねばならん。
 その女が必要ならば
 貴様自ら出ればよかろう。

カレルレン
「至極当然の答えだな。
 だがこれを見ても
 そういえるかな?

ラムサス
「こ、これは……。

カレルレン
「お前のギアとアニマの器を
 同調させた……。
 ギア・バーラーだ。
 そして彼女は今フェイといる。

ラムサス
「何だと!?

カレルレン
「フェイに対する度重なる敗北……。
 ひとえにこれはギアの性能の差……
 私はそう思っているよ。
 どうだ? お前ならばこの力、
 100%引き出せよう?
 もっとも、これで勝てなければ
 お前は本当の“塵”だがな。

ラムサス
「………。

カレルレン
「行ってくれるな? ラムサス。

ミァン
「行くの? カール。

ラムサス
「ああ。
 奴だけは俺のこの手で
 消し去らねばならん。

ミァン
「気を付けて。
 誰がなんと言おうとも、
 私はあなたの力を信じているわ。

    “フェイ”!
    忌々しい名前。
   俺の存在を拒む名前。
 俺は独力でここまで上り詰めた。
だがそれもまたあいつのせいで……。

ラムサス
「!?
 あの機影は……!▽
 あいつだ!
 俺は塵じゃない!
 塵なんかじゃ!▽

フェイ
「何だ……
 あの機体は……?▽

!!▽

エリィ
「ギア・バーラー!!▽
 しかも、このデータの示す数値は……
 バルトと呼応した機体や、
 シェバトにあった機体とは
 明らかに違う……。▽
 ……まさか!?
 完全体とでもいうの!?▽

完全体だって……?▽

エリィ
「先生が言ってたでしょ?
 ギア・バーラーは人の精神波に
 よってコントロールされてるって。▽
 その強さ……、同調率によって
 ポテンシャルが変動する。
 この数値はまるで、それが完全に
 同調<シンクロ>したかのよう。▽

ラムサス
「遅い、遅いわっ!

エリィ
「追いつかれるっ!!

ラムサス
「性能が違うのだよっ!

ラムサス
「探したぞ、フェイ!!▽

フェイ
「ラムサス!?▽

ラムサス
「少尉を、
 エレハイムを渡してもらおう!▽

フェイ
「何を!?
 何だってエリィを
 お前らに……。▽
 !?
 そうか、カレルレンの差し金か。
 冗談じゃない!
 そんなこと聞けるものか!▽

ラムサス
「実力で奪ってやってもいいのだぞ?
 ただし、その時は、エレハイム、
 二度とその腕で抱けると思うな!▽

フェイ!!▽

フェイ
「大丈夫。
 お前は俺が護る。▽

ラムサス
「良く言った。
 フェイ、
 お前からすべてを奪ってやる!!▽


ラムサス
「これが最後の通告だ。
 エレハイム少尉を
 渡してもらおう!▽

フェイ
「断るっ!▽

ラムサス
「本当に断るのだな!
 後で後悔しても
 遅いのだぞ!!▽

フェイ
「ふざけるなっ!▽

ラムサス
「フフフ……
 よく、わかった。
 では遠慮無くやらせてもらう。▽


ラムサス
「そらそらそら!
 どうした、フェイ!?
 その貧弱さは!▽
 この『ヴェンデッタ』の前では
 貴様もそのヴェルトールも、
 赤子に等しいぞ!▽

ラムサス
「素晴らしい!
 この歴然たる力の差!
 ミァン! 観ているか!?▽

ラムサス
「これならば……
 こいつならば奴を
 倒せる!▽

ラムサス
「くっくっくっ……
 ふははははは!▽

エリィ
「…………
 聞いて、ラムサス!
 私、投降します!!▽
 だから今すぐ
 攻撃をやめてっ!▽

フェイ
「何を言ってるんだ!
 そんなことしたら……▽

エリィ
「彼の目的は私よ!
 私のせいであなたまで危険に
 巻き込む訳にはいかないもの!▽

エリィ
「きゃあっ!▽

エリィ
「攻撃をやめてっ!
 ラムサス!
 私が目的なら、私だけを!▽

ラムサス
「ふはははは!
 勝てる! 勝てるぞっ!
 私は塵じゃないっ!!▽

フェイ
「ラムサス……!?
 聞こえていない
 のか……?▽

エリィ
「ギアの性能に酔いしれて
 自分を見失っているんだわ……
 フェイ、逃げて!▽

ラムサス
「これで終わりだ!
 フェイ!!▽


フェイ
「うわぁーーーーーっ!!
エリィ
「きゃぁーーーーーっ!!

ラムサス
「ぬははは、私は塵じゃない!
 うひ、うひゃははは……
 はぁ、はぁ……▽
 ……ん?▽

ラムサス
「!!
 少尉ごと墜としてしまったか……
 ちっ、指令を忘れていた……▽
 ふん……まあ、いい……
 カレルレンの指令など、
 知ったことか……▽


フェイ
「畜生……。
 血が……血が止まらない……。
 このままじゃ……
 このままじゃ
 エリィが死んでしまう……!

エリィ
「……う……

フェイ
「エリィ! しっかりしろっ!
 エリィ! 助けてやる、
 絶対に助けてやるからな!
 エリィ……!!



    

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