台詞集
疑惑 死のカレルレン研究所
フェイ
「痛てえな、ちくしょう。▽
▼穴に落ちる
フェイ
「ふー。
危うくゴミにされるとこだったぜ。▽
▼食料を調べる
フェイ
「そういえば、腹が減ったな……。▽
フェイ
「おー。
食い物があるぜ。
フェイ
「ちょっと食っていこうぜ。▽
エリィ
「そうね……。
この先何があるか、分からないし、
ぜいたくは言ってられないわね。▽
フェイ
「先生もどうだい?▽
シタン
「いいえ。
わたしは遠慮しておきます。▽
フェイ
「そうかい?
じゃあ俺たちは失礼して……。▽
フェイ
「いただきまーす。
エリィ
「いただきまーす。
フェイ
「ふー。
食った、食った。▽
フェイ
「よし。
いこうぜ!▽
▼食料を調べる
フェイ
「うーん……。
もうこれ以上は食えないな……。▽
フェイ
「これは……?
さっき俺達が食べた物か……。▽
エリィ
「ふうん……。
普段、私達が使う薬品類は
全てここで造られているのね……。▽
異物進入ヲ確認、強制排出シマス。▽
フェイ
「くそ、これじゃあ
先に進めないぜ。▽
シタン
「センサーを制御する部屋が
あちら側にあったはずです。▽
シタン
「そこで、異物を判別する
チェッカーを切ってしまえば、
先に進める様になるでしょう。▽
エリィ
「いやね……。
なんの肉かしら……。▽
フェイ
「うぅー……。
作ってる所は見たくないな……。▽
シタン
「待ちなさい、フェイ。▽
シタン
「あなた達は、あの食料を食べました。
そのことをよく認識して、
その扉を開けて下さい。▽
エリィ
「あのカン詰がどうかしたの?▽
フェイ
「何だよ……。
何があるんだよ……一体。▽
シタン
「それは、あなた達自身の目で
確かめて下さい。▽
フェイ
「こ、これは……。
ま、まさか……。
エリィ
「そんな、……。
うそでしょ……。
エリィ
「うっ……
フェイ
「な……何だよ……。
こ……これは……一体何なんだよ!!
フェイ
「うわーーーー
シタン
「ソイレントシステム。
ソラリスの生体実験場と
その処理施設。▽
シタン
「そして刻印<リミッター>維持の
為の食料、薬品の生産施設。▽
アクヴィの死霊<ウェルス>も
ここで創られたのです。▽
シタン
「エリィ。
ドミニアが何故、あなたに……▽
いえ、あなたのお父上である
エーリッヒ卿に憎悪の感情を
抱いているのか解りますか?▽
その答えがここです。▽
彼女の故国の人々はその能力の
特異性故、M計画……ウェルスの
母体とされていた種族の一つ。
彼女はその最後の生き残り。▽
エーリッヒ卿は、以前この施設の
総かつ官だったのです。▽
マリアのお父さん達と共に
その研究にたずさわっていた。▽
エリィ
「い、いい加減なこと言わないで
下さい!▽
父様がこんなことに
手を貸すはずないわ!▽
シタン
「もちろんエーリッヒ卿は常に
良心のかしゃくにさいなまれていた。▽
だから、出来うる限り、集められた
地上人を第三級市民として保護し、
そして身を退いたんです。▽
彼が現在特設外務庁の事務職に
就いているのには、そういった
いきさつがあるんですよ。▽
エリィ
「そんな……
父様が……。
嘘よ……。▽
シタン
「さあ、立ちなさいフェイ。
立って、そして
もう一度見るのです……。▽
フェイ
「こんなのってあるかい……
先生……。▽
シタン
「……これが現実です。▽
シタン
「さあ、行きましょう。▽
シタン
「己が人の命を絶ち、
その<ししむら>を食ひなぞ
する者はかくぞある……か。▽
エリィ
「これは……!?
メモリーキューブのデータ!?▽
フェイ
「俺達が普段セーブに使っている
あの物体か?▽
シタン
「ここには世界各地に点在する
メモリーキューブから▽
そこにアクセスした人達の
データが全て送信されて
来ています……。▽
エリィ
「この施設はその集積管理センター
だというの!?▽
フェイ
「一体何の為に……▽
エリィ
「何……この物体は……?▽
フェイ
「ギア……か!?▽
エリィ
「違う……
見て、装甲表面の形状を!
関節らしい関節もない……。▽
これはバルトの
E・アンドヴァリや、シェバトに
あったものと同じ……。
ギア・バーラーよ!▽
フェイ
「しかし、こいつは
とてつもなくでかい……!▽
エリィ
「ええ。
私達のギアの優に
三倍はあるわ……?▽
シタン
「これが……、
ソラリスのギア・バーラーです。▽
やあ!
ひさしぶりだな。
俺だよ、おれ。
キスレブの総統府で犬を
飼ってたじゃないか……。▽
……俺はこんなになっちゃったけど
あいつは元気でやってるかな……。▽
……お願いだから、
俺をここからだそうなんて
考えないでくれ……▽
……まだ意識はあるが……
そのうち……に……あんたを……▽
あ……開けてしまったな……。
あれほど……
開けるなといったじゃないか!!
う……おれの意思は……いし?
い・いしっししっしっしっ……
い……いぬを、よろしく……たのむ……
た……たすけて……
からだが……
きょ・きょ……きょんにちょわ……
あたい……なんだか……あなたのこと
……食べちゃいたい……
ぱぴょぱぴょぱぴょぱぴょぱぴょ
ばばばばばばばばぶ……
おい! あんた。
この扉を開けてくれないか?▽
なに、簡単さ。
そこのパネルを押して
くれるだけでいいんだ。▽
ありがとうよ……。
お礼に……食べちゃうぞ!!
あ・あんた、うまそうだな……
ウ・ウェルスもなかな、い・いいもんだぜ……
あ・あんたもどうだい? ……
お、俺たちは実験によってウェルスに
されたんぴゃ……あれ?
ぱぴょぷればぶも……
助けて……体が勝手に……
お願い殺さないで……
いたいよ、いたいよ、いたいよ……
亜人の上、ウェルスだなんて……
お・おれは、にんげんだ……
だった……
こ・ころじでぐで〜
げ・下水道で……お・おれの
兄弟が……ずいぶん世話になった
そうじゃないか……
フェイ
「この音は何なんだ?▽
シタン
「これは……。▽
シタン
「おそらく、音声信号用の
パスワードですね。▽
フェイ
「なんだこりゃ?▽
フェイ
「全然わかんないぜ。▽
シタン
「うーん……。▽
▼音を聞いた/聞いてない
シタン
「さっきの部屋で聞いた音が
パスワードになっている
様です。▽
シタン
「どこかの部屋に、パスワードが
あるはずです。▽
フェイ
「何だ!?
ここは!?▽
エリィ
「わ、私達のホログラフ……!?▽
フェイ
「何故俺達のホログラフが
ソラリスの施設の中に……?▽
□フェイ
ラムズナンバー 001589750
ウォン・フェイフォン
エーテル感応値 ……無限大
アニマとの同調率 ……無限大
備考
接触者。
早急な処分を望む。▽
□エリィ
ガゼルナンバー 6920188-2
エレハイム・ヴァンホーテン
エーテル感応値 ……無限大
アニマとの同調率 ……無限大
備考
対存在の可能性あり。
回収、分析の必要性を認める。▽
□シタン
ラムズナンバー 584921547
ヒュウガ・リクドウ
エーテル感応値 ……240
アニマとの同調率 ……98
備考
無し。▽
□バルト
ラムズナンバー 221589542
バルトロメイ・ファティマ
エーテル感応値 ……210
アニマとの同調率 ……90
備考
アニマ“ダン”の回収後、
アニムスとして調整予定。▽
□ビリー
ガゼルナンバー 321658-11
ビリー・ブラック
エーテル感応値 ……290
アニマとの同調率 ……92
備考
アニムスとして調整予定。▽
□リコ
試験混合体ナンバー000-215914
リカルド・バンデラス
エーテル感応値 ……160
アニマとの同調率 ……85
備考
『教会』による試験混合体
として生成。
キスレブバトリング委員会に
よってその潜在戦闘力を測定。
データは転送済み。
アニムスとして調整予定。▽
□エメラダ
コードネーム エメラダ
エーテル感応値 ……測定不能
アニマとの同調率 ……同調不可
備考 ナノマシン群体。
データの収集完了。
よって破棄処分とする。▽
□チュチュ
原生動物
エーテル感応値 ……不適合
アニマとの同調率 ……不適合
備考
実用性認められず。
よって破棄処分とする。▽
□マリア
ラムズナンバー 54109854
マリア・バルタザール
エーテル感応値 ……170
アニマとの同調率 ……74
備考
実用性認められず。▽
フェイ
「うん? ここも開かないぜ。▽
シタン
「さあ、こっちです。▽
エリィ
(どうして……ドアロックの
解除コードが分かるのかしら?
フェイ
「待ってくれ先生……▽
フェイ
「一体、ここの施設は何なんだ?▽
シタン
「もともとここは、原初の刻より
生き続けている身まかられては
困る御方。▽
天帝を頂点とする、ガゼル法院の
延命研究を兼ねた施設だった。▽
フェイ
「原初の刻?▽
シタン
「そう……。一万年の昔。
この地上にヒトという生物が
生まれた。▽
その最初のヒトが天帝カインと
ガゼルの法院を構成する
老人達なのです。▽
エリィ
「そんな……。
一万年も生きる人間なんて……。▽
シタン
「もちろんそれは天帝ただ一人。
彼は死ねない運命のヒトなのです。▽
だが、ガゼルの運命は違った。▽
かつての地上人との戦争……
ディアボロスの侵攻によって、
ガゼルの老人達は、肉体を失って
しまった。▽
現在ソラリスを統治している
ガゼルの法院は、メモリーバンク
上に存在する、個々のパーソナリ
ティーごとのデータに過ぎない。▽
フェイ
「メモリーバンク上のデータだって?▽
シタン
「そう。肉体も魂もない、
ただの数字の列。▽
実体あってなき存在……。▽
シタン
「崩壊の日の後、肉体に固執する
彼等はその復活を望み、それに
相応しい生体を創り出す為、▽
研究施設として地上にあった
ソイレントシステムの一つを
ここエテメンアンキに移した。▽
やがてその施設は、単に天帝と
法院の延命処置、肉体復活の研究を
するだけにとどまらず、▽
特殊な添加物を混入した民意統制用
の薬品や食料、生物兵器の研究施設
としての役割も兼ねるように
なっていった。▽
フェイ達が何気なく
使用しているメモリーキューブも、
地上人の生体データを採取する
為に設置された装置なのですよ。▽
もちろん『教会』から送られて
くる種々データも、その一助と
なっていた。▽
フェイ
「それじゃあ俺達は、そのガゼルの
老人達の為に、日々暮らして
いたってのか!?▽
シタン
「そうです。▽
エリィ
「個々の生体データを、
メモリーキューブによって▽
記録を採る度に送信して▽
法院の肉体の復活に
役立てる為に!?▽
シタン
「そうです。▽
フェイ
「さっきの工場で分解されていた
亜人達もそうだっていうのか!?▽
シタン
「使用済みとなった出し殻……
それの再利用といった
ところでしょう。▽
フェイ
「酷すぎる……。
そんな事が……▽
エリィ
「ちょっと待って、フェイ!
変よ!
おかしいわ!▽
エリィ
「何故先生がそんな事知っているん
ですか▽
そんな事、政府や軍の要人だって
知らない事なのに!▽
フェイ
「えっ?▽
エリィ
「今思えば、ここに来るまでだって
わざと遠回りしていたように
感じるわ。▽
バルト達のところへ行くには、
もっと早道があったはずなのに。▽
それにこの区画へのルートは、
ダウンロードした区画地図にすら
載っていないのよ。▽
それなのに何で正確な道が
判るのかしら。▽
フェイ
「先生だって調べたんじゃ……▽
エリィ
「それは無理よ。▽
第一、この区画に入る時に
通った隔壁。
あれのパネルには、P4施設の
表示がされていたわ。▽
ソラリスの上級将校だって
おいそれと入れる代物じゃないわ。▽
そんなものが鍵も掛けられずに
開けっ放しにしてあると思う?▽
エリィ
「それを開けることの出来る先生って
一体何者なんです?▽
フェイ
「ちょっと待てよ。
たまたま運が良かったってことも……▽
エリィ
「そんなことある訳ないじゃない!
本来警戒厳重であるべきソラリスに
運良く潜入出来て、▽
宮殿内部に苦もなく侵入し、
更に運良くP4レベルの扉を開ける
ことが出来て、▽
その施設の目的まで知っている……
なんて事があり得る?▽
エリィ
「父様のことだってそう。
たしかにその当時、先生はソラリス
にいたかもしれない。▽
エリィ
「でも、同じ頃ソラリスにいた
ジェシーさんですら知らなかった▽
M計画の実態を、何故先生が
知っているんです?▽
それも当のマリアよりも詳しく……。
おかしいわ……絶対に。▽
フェイ
「エリィ、あ、あのさぁ……▽
エリィ
「黙って!▽
エリィ
「もっと早くに気付くべき
だったのよ。
先生……あなた、何者なんです?▽
フェイ
「な、なにっ! ……▽
フェイ
「おい、大丈夫か?
エリィ。エリィ……?
フェイ
「エリィ!
フェイ
「先生…… 先生!
フェイ
「くそっ!
やられた!▽
フェイ
「エリィ! 先生!
どこだー!▽
▼隔壁
フェイ
「くそっ! ダメだ!
開かない。▽
フェイ
「エリィ……▽
フェイ
「先生……
いるのか?▽
フェイ
「うっ、
な、なんだ……
フェイ
「こ、これは……
フェイ
「うわーーーー
フェイ
「うん……
フェイ
「むっ!?
これは……
フェイ
「ぐぐ……
フェイ
「だめだ……
とれない。
フェイ
「う……。
これは……▽
フェイ
「なんだこれは!?
なんだって俺にこんなものを
見せる!?▽
誰だ!?
誰がこんなことを!?▽
エリィ!
先生!▽
どこだ!?
どこに……▽
その光景はお前が生み出したもの……
その声はお前を呪う声……
忌々しや、触れ得ざる者……
神の愛し子たる、
我らの悲願をはばむ者……
捕らえよ……
滅せよ……
神の炎で焼きつくせ……
フェイ
「な……?▽
フェイ
「先生!?▽
こ、こいつらは?
なんなんだ、これは!?▽
フェイ
「バルト!?
フェイ
「ビリー!▽
フェイ
「先生!!
こ、これはどういうことなんだ!?▽
みんなはなにを……?
答えてくれ! 先生!▽
老人
「ここにおるのは、
ソラリス守護天使が一人、
ヒュウガ・リクドウ。▽
老人
「この男はカイン……お前たちが
天帝と呼ぶ者の命を受け、▽
彼の地へとおもむき、お前の監視を
続けていた……。▽
フェイ
「ソラリス守護天使?
俺の監視だって……?▽
老人
「そうだ。▽
そしてお前に引き寄せられるで
あろう、我等が“アニムス”と
なりうる者達を取捨選択、▽
このソラリスまで導いてきたのだ。▽
老人
「“アニムス”は、身体無き
我らの復活に欠かせぬもの……。▽
この者達は我等の肉体……
憑代なのだ。▽
老人
「そう、ただそれのみの存在……。▽
フェイ
「バルト達が
お前達の肉体……!?▽
本当なのか!?
先生!▽
こいつらの言っていることは……▽
老人
「何をそう、うろたえておる?▽
信じていた者に裏切られたからか?▽
フェイ
「お前らなんかに聞いちゃいない!
答えてくれ! 先生!▽
シタン
「三年間……▽
フェイ
「? ……▽
シタン
「この三年の間、
私はあなたの側にいた。▽
そして見極めねばならなかった
我々の仇となるかどうかを……▽
フェイ
「……仇?▽
老人
「そう、仇だ。
お前は我等にとって
危険な存在なのだ……。▽
老人
「故に監視する必要があった。▽
老人
「もっとも監視をしろと
下命したのはカインだが……。▽
老人
「我等はそこの“アニムス”の選出と
仇となるお前の消去をもくろんだ。▽
そしてヒュウガをお前のもとへと
おもむかせた。▽
老人
「だが、お前の消去は
ことごとく失敗した……。▽
あのでき損ないの塵のせいで……。▽
老人
「それでも“アニムス”は
手中に出来た。▽
ヒュウガはよく働いてくれたよ。▽
フェイ
「本当……なんだな……?▽
こいつらとグルになって
俺達を……▽
そのためにみんなは……▽
フェイ
「何故だ!
お前達は俺達地上の人間を
意のままに操ってきた!▽
すでに世界をその手に
しているも同じ!▽
この上何を求めるというんだ!?▽
老人
「お前も知っておろう。
我等の目的は神の復活。▽
老人
「ヒトが地に満ちたとき、
神はその永き眠りから
目醒めるのだ……。▽
その時、マハノンも目醒める……。▽
フェイ
「天空の楽園マハノン?
地に墜ちたという……。▽
老人
「楽園か……。
ふふふ。▽
それは正しい見方かもしれぬな…。
我等の方舟……▽
その中央ブロック“マハノン”
神の封印されし場所。▽
そこは神の知恵の源……。
知識の楽園……。▽
老人
「その知恵を使い、目醒めた神を
復活させ、神と我等を大宇宙へと
誘う“方舟”を築くのだ。▽
老人
「我等の方舟の建造……。
大宇宙に君臨する為の神の軍団……▽
天使<マラーク>の創造。
その為のM計画……。▽
フェイ
「何だって!?▽
老人
「我等は宇宙の孤児なのだ。
我々は神とともに孤独にも
この惑星に打ち捨てられたのだ。▽
老人
「我々ヒトはこの星で生まれた
生命体ではない。▽
遥か昔、他の天体から
この星へとやってきた
異星の生命体なのだよ。▽
フェイ
「そんな馬鹿な!?▽
老人
「嘘ではない。
お前とて、地上のいたるところを
見てきたであろう?▽
何故一万年より以前、
人の存在がないのか……。▽
フェイ
「……!?▽
老人
「これは神の意志なのだ。
神の復活はいにしえの原初より
運命られしもの……。▽
老人
「そして我等はその神と一つとなる。
新たな“アニムス”を得て……。
再び星空のもとへと還る……。▽
老人
「それが我等の存在意義。▽
老人
「それが我等の至高目的。▽
フェイ
「……ソラリスの力を持って、
世界に君臨することが
目的ではないんだな?▽
老人
「当然だ。▽
このようなちっぽけな惑星ひとつ、
手に入れたところで
何の意味があろうか……。▽
我等はこの大宇宙に君臨すべく
その権利を神から与えられた。▽
老人
「そう。
血のけがれのない我等だけが、▽
その免罪符<インダルジェンス>を
得られる……。▽
老人
「故に神を復活させる。▽
老人
「楽園より追放されて永劫。
福音の刻までに神の復活が
成されない場合、▽
我等は滅びの道を辿らねばならぬ。
だが……▽
老人
「“アニムス”を得た今、
我等の復活は約束された……。
後は神の復活と……▽
フェイ
「カレルレン!?▽
カレルレン
「この者の目醒めを待つだけ……。▽
フェイ
「エリィ!!?▽
エリィ
「ここは……?▽
カレルレン
「君の記録は調べさせてもらったよ。▽
エリィ
「カ、カレルレン……閣下?▽
カレルレン
「エレハイム・ヴァンホーテン。
1年前のユーゲントでの事故……▽
ケース102、過度に調合された
昂精神薬剤の投与による
内的力動の解放。▽
その時点でのエーテル感応値は
400以上。▽
一瞬の内に当がい者2人が重傷、
3人が再生処理。▽
合っているかな?▽
エリィ
「やめて下さい!▽
カレルレン
「だがこの記録は間違いだ。
これは、よくある昂精神薬による
力の暴走ではない。▽
エリィ
「……?▽
カレルレン
「これは、“君の中に眠るもう一人の
君の一時的目醒め”に
よってもたらされたものなのだよ。▽
エリィ
「もう一人の私……?▽
エリィ
「フェイ達は、みんなは……?▽
カレルレン
「彼等はガゼルの法院の復活の為に
供される。▽
あの人工生命体の娘も同様だ。
サンプルは以前にとったもので
十二分なのでね。▽
私の計画もすでに第4段階まで
きている。
後は最後のファクターが
そろえばいいだけだ。▽
故に彼等は私にとってなんら
必要価値の見いだせない
どうでもいい存在なのだよ。
……ただの塵だ。▽
だが、君は違う。▽
エリィ
「あの、研究施設の人達のように
するというの!▽
自分の欲望の為だけに……
あなたは自分が何をしているのか
理解しているの!▽
人が人の命をもてあそぶなんて、
そんなこと絶対に許せない!▽
カレルレン
「そうか……下の研究施設を
見てきたのだな。▽
あそこは現在、ソラリスの研究員
達が主に遺伝子工学の研究を
行っている施設。▽
有機生命体を操作し、
偶然によって得られる成果と、
非人道的な行為に快楽を覚える
愚か者の巣窟だ。▽
あれは私の管かつではない。
私の専門は分子工学……
ナノテクノロジーだよ。▽
カレルレン
「これが何か解るかね?
ナノマシン……分子機械だ。▽
これはその中の一つ、
アセンブラーといって、分子や原子
を解体、再構築し、自在に物質を
創ることの出来る機械なのだ。▽
この球体一つ一つが原子の大きさに
等しい。▽
以前はこれの数十倍のサイズの
ものを作るのが精いっぱいだったが、▽
あの娘……遥か昔に滅んだゼボイム
文明の遺産のおかげで、▽
ここまで小さくかつ精巧に創る事が
出来た……。▽
この機構が遥か4000年以上も昔に
創られていたとは驚く他はない。▽
それまでのものは、雑な仕事しか
出来なかった……。▽
せいぜい損傷した人の身体を
外界から与えられたアミノ酸などを
使って再構成したり、固有の能力を
封じ込めたり……といったね。▽
君もユーゲントで人の遺伝子構造
くらいは学んでいるだろう。▽
遺伝子内の各種こう素……あれも
いってみれば自然の創りだした
分子機械だ。▽
もっとも我々が自然発生の
始原生命体<プロゲノート>だと
すればの話だが……。▽
エリィ
「その分子機械を使ってあなたは
何をしようというの?▽
それと私と何の関係があるの?▽
カレルレン
「従来のナノマシンでは、遺伝子の
組み替えは行えても、▽
その更に内奥、二重らせんの
空隙部分……イントロンに
隠されている情報までは
解らなかった。▽
だが新しいナノマシンはいとも
容易くその空隙に隠されている
情報を見つけてくれた。▽
本来“あるべきでない”情報をね。
まもなくその結果が出る。▽
カレルレン
「ふむ、転送されて来た記録通り、
類似波形を描いている。▽
カレルレン
「そして…おお、ウロボロス環……!▽
やはりそうか、そうなのだな……?▽
ミァン、そしてラカンの動き……
これで全ての説明がつく。▽
カレルレン
「エレハイム……
君が“母”だったのだな……。▽
エリィ
「母……?▽
カレルレン
「そう。
これは君の遺伝子のエクソン置換前
の空隙……▽
本来は情報の存在しえない
イントロン部分を解析、
がい念化したものだ。▽
見たまえ、このリング状の
構造体を。▽
これはウロボロスの環という、
“ある特別な者”にしか存在しない
“イントロン情報”だ。▽
ウロボロス……大母とも準えられる
このがい念のへびが、自らくわえた
その尾を放し、かま首をもたげれば
どうなるか……。▽
君はその姿に興味を抱かないか?▽
エリィ
「…………。▽
カレルレン
「エレハイム、君は美しい。▽
君を見ていると、ヒトを形作る
モノのげい術性、精巧さ……。▽
そういったモノの力を感じずには
いられない。▽
私の分子機械なぞ
およびもつかない程のね。▽
君は“あの頃”と少しも
変わっていない。▽
あの“もう一人”の
ラカン同様に……。▽
フェイ
「う……。▽
シタン
「気が付きましたか?▽
フェイ
「先生……
こ、これは……!?▽
シタン
「動こうと思っても無駄ですよ。
それは身体との神経の伝達を
物理的にカットする装置です。▽
頭でどう命令しても、あなたの
身体は指一本動かせはしません。▽
フェイ
「俺をどうする気だ?
バルト達は?
エリィはどこにいる?▽
シタン
「心配には及びません。
彼等には彼等の……
あなたにはあなたの役割がある。▽
私はそれを調べさせてもらう
だけです……。▽
フェイ
「畜生……
こんな……
俺はなんの為にいままで……▽
シタン
「戦ってきたのか……ですか?▽
それは先ほど、法院の老人達が
言ったとおりです……。▽
フェイ
「ふざけるな!
俺達は奴等の為に
生きているんじゃない!▽
その為にこのソラリスまで
来たんじゃない!▽
みんな、自分のほんとうの
居場所を作るために……▽
そのために戦ってきたのに……。
なのに……▽
シタン
「居場所なんてものは、自らが
作り出すよりも、誰かに与えられる
方が楽なんですよ。▽
そんなことも解らないんですか?▽
フェイ
「そんなものは本当の……!▽
シタン
「青臭い理想論など現実の前では
意味をなしません。▽
事実、多くの人はそれを満足と
しているではないですか。▽
与えられた居場所ならば、
自分はそのリスクを背負わなくて
いい。▽
たとえうまくいかなくても、
その責任を転嫁出来るんです。▽
人が何故個々人ではなく、
集団、国家といったより大きな
ものに依存するのか解りますか?▽
人には寄る辺が必要なんですよ。
自分が自分自身である為のね……▽
それが強固であればある程
よしとされる。▽
シタン
「ガゼルの法院は、その寄る辺を
与えてくれるのです。▽
絶対的な管理者の下でならば、
人は個人を保とうとするリスクを
背負う必要はない。▽
自分は“一個の人間だ”という
幻想だけ持って生きていける。
なんと楽なことじゃないですか。▽
事実は事実。受け入れましょう。
その方が気が楽です。▽
抵抗したところで虚しいだけです。
辛いだけです。▽
フェイ
「俺は……俺は……▽
シタン
「それともまだ何かしようと
いうんですか?▽
あなたのその姿を見て
ごらんなさい……。▽
この期におよんでどうすると
いうんです?▽
身動きをとることすらままならない。
共に戦い、あなたを必要と
してくれていた友も守れない。▽
あなたにとって大切なエリィさえも
守れない。▽
フェイ
「止めろ! 止めてくれっ!▽
シタン
「あなたにはどうすることも
出来ないんだ。▽
フェイ
「やめて……くれ……▽
シタン
「これでゆっくりと話が出来ますね……
イド……。
エリィ
「か、閣下!?▽
エリィ
「な、何を!?▽
ラムサス
「ど……だ……?▽
エリィ
「え?▽
ラムサス
「どこ…だ?
どこだと聞いている!!▽
エリィ
「い、痛!
や、やめて!
やめて下さい!▽
ラムサス
「あの男はどこだ!?
どこにいる!?▽
知っているはずだ!
案内しろ!▽
エリィ
「あの男って……
フェイのこと……?▽
ラムサス
「フェイ、フェイ、
フェイ……▽
どいつもこいつもフェイ。▽
ラムサス
「フェイ……!
あの男のどこが俺より優れている
というのだ!▽
認めぬ、俺は認めぬぞっ!!▽
ラムサス
「ぐぅぅ……▽
エリィ
「ラ、ラムサス……その薬……
精神安定剤……?▽
どうしてあなたがそこまで
追いつめられなくては
ならないの……?▽
フェイとの間に何が……▽
ラムサス
「フェイめ……
見ていろ……
俺は……▽
エリィ
「ラムサス……。▽
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