台詞集

やすらぎの都 二サンの聖母




シグルド
「私は残って艦内のチェック
 をしておきます。▽
 メイソン卿、宜しく
 お願いします▽

メイソン
「御意。
 では、お供つかまつる。▽

バルト様、お変わりないようで。▽

バルト
「まあな。
 で、街の様子はどうだい?▽

数日前に王都から進軍の可能性が
あるとの知らせをうけて、法皇府
の代表が話し合いを続けております。▽

バルト
「何か対策でも考えてるのか?▽

とりあえず、周辺の防備は進めて
おります。▽
また、今回の情勢を聞き付けてか
各方面から反シャーカーン派の
者たちがこの地に集まっています。▽

バルト
「それは心強いな。▽

はい。▽
しかし、逆に住民達に不安の
色が出始めています。▽
北方の山奥へ避難する者も現れ
始めました。▽

バルト
「まあ、無理もないだろう。▽

ところでマルー様は……▽

バルト
「ああ、心配してたよりは
 元気だったよ。▽
 といっても実際のところ
 つらい思いをしただろうが。▽

マルー様!
よくぞ御無事で。▽

マルー
「ありがとう。▽

大教母様が御帰還されたとあって
街の者たちも喜んでおります。▽


マルー
「うわあ!
 久しぶりだなぁ。▽

シタン
「さて……▽
 まずはマルーさんを
 シスター達のもとへ
 お連れしましょう!▽

バルト
「……ん?
 爺、どうした?▽

メイソン
「ううっ……▽
 マルー様がこの街に……▽
 ……感激です!▽

バルト
「お……おいおい爺。▽

メイソン
「も……申し訳ありません。
 つ、つい……。▽

メイソン
「私は……▽
 私は艦に残った者たちに
 指示を伝えておきます。▽
 若はマルー様をシスター
 の元へお連れ下さい。▽
 ……では。▽


「……?▽

ブレイダブリクの様子は?▽

戒厳令下のため、王都内に潜入
している同志達との連絡が
次第に難しくなっています。▽
先程ようやく得た情報によると
現在は特に表立った動きはない
との事です。▽
しかし、何らかの理由を見つけて
ここへ攻め込んでくる用意は
しているのではないかと……。▽

その可能性はあるな。▽

しかし王都とて、さすがに
シャーカーン政権の元では腐敗
も深まっていると聞いています。
以外にもろいかも知れません。▽

いずれにせよ、こうなってしまった
以上は引き下がれまい。▽

それは私も同じ気持ちだ。▽

思えば12年前……▽

あの男、シャーカーンによって起きた
クーデター以来、我々の地は多大な
緊張を強いられてきた。▽
マルー様が御帰還された今、前王家
復興を望む気持ちは私も同じである。▽

その気持ちは皆同じだが、現実も
見なければ。▽
果たして今の我々にその力
があるのだろうか?▽

今回、マルー様御帰還にあたって
バルト殿はえらく派手に
立ち回ったと聞く。▽
シャーカーンは絶対に大軍を
準備しているに違いないぞ。▽

あのシャーカーンがいよいよ
この地へ……▽

………………▽

もしこの地が奴に占領されたら
我々はどうなる?▽

皆殺しにされるのか?▽

さすがにそれはあるまい。
奴とて、むやみに国民の反感を
かいたくはないはずだ。▽
今回の一件で、自分の立場を
不利にしたくはないだろう。▽

万が一のために避難場所の
整備と確認を……▽

あの場所か……▽

バルト
「この事はマルーには内緒に
 しておいてくれ。▽
 ……せっかく戻ってきたんだ。▽
 もう少しの間、何も考えずに
 喜ばせておいてやりたい。▽

シタン
「あなたも、変に気に
 なさってはいけませんよ。▽
 あなたはこの地の将来を
 考えて……▽
 御自身が信じている選択を
 したまでの事です。▽

バルト
「俺は平気さ。▽


マルー
「ボクがもっと小さい頃に
 お世話になった人達なんだ。▽


バルト様!
お元気そうで何よりです。▽

先程、隠し港のほうから一足先に
連らくをもらったのです▽

既に修道院の方々にも知らせて
あります。▽
すぐにマルー様をつれていって
あげて下さい。▽
きっとお喜びになられること
でしょう!▽

マルー
「早く行ってシスター
 に会わなくちゃ。▽


マルー様!▽

マルー様!▽

マルー
「みんなただいま!▽

マルー様……▽
よくご無事で……。▽

マルー
「うん。
 若達のお陰でね。▽

先ほど知らせを受けてから……▽
祝福の詩を詠唱していた
ところなのです。▽
本当に……よかった。▽

シスター・アグネス
「おかえりなさいマルー様。▽
 私ども皆、マルー様と
 バルト様の御無事を
 信じて……▽
 今日まで他の同志達と
 お待ちしておりました。▽

マルー
「シスターアグネス!▽

シスター・アグネス
「残念ながら……お母上と
 聖太后様は……。▽

マルー
「うん。
 ……王都で聞いたよ。▽

マルー
「……でもボクはこうして
 帰ってきた。▽
 これからはどこへも
 行かないよ。▽
 これ以上みんなに
 心配はかけないからね。▽

シスター・アグネス
「そうですね……。▽

マルー
「なんだかシスターアグネス
 らしくないなぁ!▽
 せっかくこうして元気に帰って
 きたんだからさ。▽
 前みたいに小言の一つでも
 聞かせてよ!▽

シスター・アグネス
「……すいません。▽
 でもあまりに嬉しくて
 つい……。▽

「シスター……。▽

シスター・アグネス
「……しんみりしても
 しょうがありませんね。▽

シスター・アグネス
「さあ、みなさん!▽

シスター・アグネス
「マルー様のご帰還を祝して……▽
 そして私たちの喜びを天に伝える
 ために、終わりまで詠唱しましょう。▽

マルー
「……ありがとうみんな。▽

マルー
「……そうだ、ボクは
 2階に上がっててもいい?▽
 久しぶりだもの。▽
 上を見てまわりたいんだ。▽

シスター・アグネス
「ええもちろんですとも!▽
 なにも遠慮なさる事は
 ありませんわ。▽
 ただし……▽
 くれぐれもおいたをなさっては
 いけませんよ。▽

マルー
「ははっ!
 そう言うと思った。▽
 やっぱりアグネスは
 そうでなくっちゃ!▽

「マルー様、本当によかった。▽

バルト
「ここへ来るのも久々だな。▽

バルト
「……?▽
 マルー、どうかしたか?▽

マルー
「ううん、何でもない。▽
 ただ何かさ……▽

マルー
「少しグッときちゃった。▽
 ……へへへ。▽

バルト
「……▽

バルト
「まっ、とりあえず
 ゆっくりしろや!▽
 ……お前は充分
 がんばったよ。▽

マルー
「……泣かそうったって
 そうはいかないよ。▽

マルー
「そうだ!▽
 フェイ達に大聖堂の中を
 案内してあげるよ。▽
 ついてきて!▽

シタン
「強いお方ですね。▽
 本当は泣きたくて
 しかたないでしょうに……▽

バルト
「まあな……▽
 あいつは昔からそうさ。▽
 なんだかんだいって自分の
 立場をよくわかってる……。▽
 俺もちったぁ見習わねえと
 いけねえのかもな。▽


マルー
「ここから2階の回廊に
 上がれるんだよ。▽


シタン
「……素晴らしい!▽

マルー
「昔ね、よくイタズラして叱られると
 若とこの下へ隠れたんだ。▽

バルト
「お前、そんな昔の
 話いうなよ。▽
 格好悪いだろ!▽

マルー
「でも、ボクから見たら
 若はあの頃とあんまり
 変わってないけどなー。▽

バルト
「なにぃ〜!?
 それって俺がガキだって
 言いたいのかぁ〜!▽


マルー
「ボクはここからの眺めが
 一番好きだな。▽


シタン
「う〜む、確かに!▽

シタン
「正面のステンドグラスから
 外の光が差し込んできて……▽
 見事な演出効果ですよこれは。▽

マルー
「ね、この大天使様って
 二人とも翼が一枚ずつしか
 ないでしょ?▽

ニサンの言い伝えではね……

神様は、人間を完璧に造る事も
  出来たんだけど……

 そうすると人間達はお互いに
助け合わなくなっちゃうから……

だからこの大天使様達は
 翼が一つずつなの。

飛ぶ時はいつも一緒なんだよ

シタン
「ほう。そういう理由が
 あったんですね。▽
 成る程……
 良く観れば左の天使像は
 どことなく男性的だし……▽
 反対に右のは女性的だ。▽

シタン
「ああ。
 こういう造作も珍しいなぁ!▽

シタン
「本来こういった物は
 中性的な物が多いのに。▽
 敢えて分けてある。▽

シタン
「そして、その間が
 神の降臨する道……▽

シタン
「否、到る道なのかな?▽
 まぁ……とにかく
 そうなる訳なんだ。▽

シタン
「……そうかそうか!▽

シタン
「これはニサンの教えとも
 符合するなぁ。▽

マルー
「ハハハ!
 シタンさんって面白い人だね。▽

シタン
「ああっ!
 いやいやこれは失礼。▽
 つい、いつものくせで……。▽

フェイ
「先生って物知りなんだよ。▽
 ときどき俺も何を言ってるのか
 わかんないときがある。▽

バルト
「……ったく、どうでも
 いいけどよ……▽
 わざわざ二人で飛ぶなんて……▽
 かったるいよな、フェイ?▽

マルー
「んもう、若はせっかちだなぁ!▽

マルー
「ボクは、いつかこうやって誰かの
 助けになりたいな……▽

マルー
「そうだ、ソフィア様の間には
 まだ行ってないよね?▽
 本当はちゃんとした手続きを
 とらないと観られないんだけど
 特別に見せてあげるよ。▽

フェイ
「ソフィア様?▽

マルー
「うん。ソフィア様。▽
 このニサンの建国の母と呼ばれている
 お方で、ニサン正教そもそもの教義を
 創られた神祖様なんだ。▽
 そのソフィア様の肖像画の間がこの
 上にあるんだよ。▽

シタン
「それは是非拝見したいなぁ。
 フェイ、行きましょうよ!▽


▼シスターの部屋に入る

マルー
「シスター達はまだ下で詠唱中
 だから戻らないと思うよ。▽

マルー
「先に壁画の間へ
 行ってこよう。▽
 多分その頃には
 シスター達も
 戻ってくるよ。▽


マルー
「この奥だよ。▽


シタン
「これはまた……。▽
 目も及ばない程の
 妙齢のご婦人ですね。▽

シタン
「……それにしても
 ……似ているなぁ。▽

シタン
「ねぇ、フェイは
 どう思います?▽

フェイ
「ああ。俺も今そう思っていた
 ところだよ。▽
 髪の色こそ違うものの、雰囲気
 なんかはそっくりだ。▽

シタン
「え? 髪の色?
 なんの事です?▽

フェイ
「何って……▽
 樹海で会ったあいつに……▽

フェイ
「エリィに雰囲気が
 そっくりだって……▽

フェイ
「……違うのかい?▽

シタン
「ああ、そう言われれば……▽
 確かに似てますね。▽

シタン
「いえ私が聞いたのは……▽
 この絵の筆運びの技法なんかが
 フェイの描く絵に
 似てますねってこと
 だったんですが。▽

フェイ
「……そうか?▽


フェイ
「似ているかなぁ……▽

フェイ
「第一、俺はこんなに巧くはないよ。▽

シタン
「いやいや似てますよ。▽

シタン
「でも、どことなくこの絵には
 哀しげな雰囲気がありますね。▽

シタン
「微笑みかけているのだけど
 何か憂いに満ちたような表情を
 している。▽

シタン
「この絵の女性の持つ内面を
 反映しているのか……▽

シタン
「それともこの絵の描き手の心情
 の発露なのかは判りませんけど。▽

シタン
「ああ。それに良く観ると
 この肖像画は描きかけだ。▽

「完成間近にして筆を置いている。▽

シタン
「……何故なんです?▽

マルー
「それはボクにもちょっと……。▽
 おばあちゃんなら何か知っていた
 かも知れないけど。▽

マルー
「そうだ。アグネスに尋ねれば
 何か知っているかもしれないよ。▽


マルー
「それじゃ、ボクはアグネスの
 ところにいるから。▽

バルト
「俺達はひとまず街へ
 戻るとするか。▽

シタン
「そうですね。▽
 ただ、私はどうしても絵の事が
 気になるんですよ。▽
 帰る前にシスター・アグネスの
 ところへおじゃましても
 いいですか?▽

バルト
「じゃあ帰りに寄ってくか。▽


ラカン……


シタン
「どうしたんですか
 フェイ?
 ぼぉーっとして……▽

フェイ
「あ……
 い、いやなんでも……▽


アグネス
「ソフィア様の絵をご覧になった
 そうですね。▽
 あの絵のお方はニサン教の
 初代大教母……▽
 一説では今から500年程前に
 描かれたものだと云われて
 おります。▽

シタン
「500年前ですか……
 そいつは凄いな。▽
 個人的に大変興味深いの
 ですが、何か当時を伝える
 史料等はないのですか?▽

アグネス
「我々の手もとにそのようなものは
 一つも残っていないのです。▽
 ソフィア様に関する記録等は全て
 紛失してしまっていて……▽
 形として遺っているものはあの
 肖像画だけ。▽
 私どもも詳しくは判らないのです。▽

シタン
「そいつは残念だなぁ!
 本当に何もないのですか。▽

アグネス
「私としてもマルー様にお力添え
 して頂いた方とあれば、喜んで
 お見せしたいですが……▽
 こればかりはさすがに……▽

シタン
「あ、いやそこまで気を使って
 頂かなくても結構です。▽

シタン
「でも、何となく不思議ですね。▽
 これだけの偉容を呈した建造物
 が存在したなら、伝記のひとつや
 ふたつあっても不思議ではない
 のに……▽

アグネス
「言い伝えによれば、ソフィア様
 が生きておられたのは500年ほど前で
 あられたということ……▽
 人々の為に自らを犠牲とされ、神の御下
 に召されたということだけなのです。▽

シタン
「……なるほど。
 全ては歴史の闇のかなた
 というわけですか。▽


マルー
「ソフィア様ってどんな方だった
 んだろうね。▽
 一度でいいから会ってみたいな。▽


バルト
「お!▽

メイソン
「若ぁ〜!▽


メイソン
「ニサンの方々の御好意で
 こちらの家を貸して頂く事に
 なりました。▽
 しばらくの間、宿をとられる
 必要はございません。▽
 ついては今後の動きについて
 話し合う必要があると
 シグルド殿が申しております。▽

バルト
「そうだな。
 で、シグのやつは?▽

メイソン
「中でお待ちしております。▽

バルト
「わかった。▽


メイソン
「シグルド殿は中で
 お待ちしております。▽


シグルド
「ここはいつ来ても
 心なごみますな。▽

シグルド
「それはそうと、若……▽
 今後の計画を練りたい
 のですが。▽

バルト
「ああ。▽
 ……だがその前に
 お前に聞きたい事がある。▽

シグルド
「……私に?▽

バルト
「そうだ。▽


バルト
「シグ……。▽
 あのゲブラーの将校と
 お前とは、どういう
 関係なんだ?▽
 お前は奴に……、▽
 いや、ゲブラーに
 ついてやけに詳しい
 じゃないか。▽

シグルド
「……解りました。
 お話しましょう。▽

シグルド
「私と……
 ここにいるシタンは……▽
 昔、ソラリスにいたことが
 あるのです。▽

バルト
「ソラリス……▽
 ……てことは、つまり……
 ゲブラーの本国の?▽

シグルド
「そうです。▽

シグルド
「ソラリスは……▽
 国外の人間を
 『ラムズ』と呼び……、▽
 自らの国家運営の労働力
 として使っていました。▽
 まぁ、言ってみれば
 奴隷みたいなものです。▽

バルト
「奴隷だと?▽

バルト
「あの野郎とはそこで
 出会ったのか。▽

シタン
「まあ、そんなところです。▽

シグルド
「我々は、ソラリス政府の
 一員として、しばらく
 活動していたのですが……▽
 彼等のやり方にいつしか
 反感を覚え、機を見て
 脱出してきたのです。▽

バルト
「……奴等の仲間だったってのか。▽

バルト
「お前とは、俺がガキの頃からの
 付き合いで、以来ずっと一緒だ。▽
 ……て事は、今の話はそれより
 前からって事になる。▽

バルト
「確かに昔の俺だったらそんな話を
 聞かされても理解できなかった
 かもしれないが……▽
 今の俺にだったら話してくれても
 よかったんじゃないのか?▽
 しかも、それが今ファティマ城で
 シャーカーンとつるんでる奴等と
 関係してるんだったら……▽

バルト
「早く教えて欲しかったぜ。▽

シグルド
「……その事に関しては、もはや
 弁解のしようがありません。▽

シグルド
「しかし、これだけは信じて
 頂きたい。▽
 我々がソラリスから離反したのは
 己の意志にもとづいた確たる理由
 があっての事……▽
 それに今こうして我々の前に
 彼等が姿を現した以上、黙って
 見過ごすわけにはいかない。▽
 私は彼等の動きを止めるためなら
 この身を犠牲にしてもいいとさえ
 思っています。▽


バルト
「よし、わかった。▽
 じゃあ、もう少し詳しく
 話を聞かせてくれ。▽

→ソラリスってどこにあるんだ?

バルト
「さっきの話で引っ掛かったのが
 『地上人』って呼び名だが……▽
 なんだか、ソラリスが別の所に
 あるみたいな物言いだな。▽
 雲の上にでもあるってぇのか?▽

シグルド
「ええ。▽


シグルド
「ソラリス帝都、エテメンアンキは
           天空にあるのです。

 ソラリスと地上とは、『ゲート』と
  呼ばれる歪曲空間によって閉ざされており

 地上との行き来は特別な移動手段……
  例えば空中戦艦のようなものを使わないと
              不可能だった。


シグルド
「アヴェへ戻るには、地上へ
 向かう定期連絡船に
 潜り込んできました。▽

シタン
「私は彼よりも
 数年あとに……▽
 やはり同様の手段で
 出奔したんです。▽


→『ラムズ』って何だ?

バルト
「ラムズって何だ?▽

シグルド
「ソラリス側が、我々地上に
 住む人間を指す言葉です。▽
 先程申したように、彼等は
 国家運営の労働力として
 我々地上人を使っています。▽

シグルド
「労働力といっても一次産業に
 従事する者から兵士まで様々。▽
 ソラリスはそういった労働力を
 地上人の中から集めています。▽
 仕事は個々の適性に応じて
 振り分けられますが、場合に
 よっては洗脳を施して使役させて
 いました。▽

バルト
「洗脳!?▽

シグルド
「私は……
 まだ、若が幼い時分に……▽
 ソラリスに被験体として
 ら致されたのです。▽
 恐らくはこの私の中に、彼等に
 とって何がしかの有益なものが
 あったからでしょう。▽

フェイ
「……先生も?▽

シタン
「いえ……▽
 私はあそこの下層市民街の
 生まれです。▽
 厳密に言えば違うので
 しょうが……▽
 一応ソラリスの人間です。▽

シタン
「どんなに科学技術が向上しても
 国家運営の基幹はやはり
 人なんですよ。▽
 それなくしては維持は困難です。▽

シグルド
「純粋なソラリス人は少ない。▽
 総数ではアヴェの人口の
 四分の一にも満たないのでは
 ないかな。▽
 つまり、残りを地上人で補う
 事で国を維持しているわけです。▽


→あの男は何者なんだ?

シグルド
「名前は、カール……
 カーラン・ラムサス。▽
 若も既に御存知の通り
 ゲブラーの総司令官です。▽

バルト
「ラムサス……か。▽

シグルド
「我々はカールと呼んでいました。▽
 ソラリスには『ユーゲント』
 と呼ばれる指揮官養成学校が
 あります。▽
 彼はそこを出た後、任官
 しました。▽

シタン
「私と同じ、下層市民の出です。
 しかし、卓絶した能力を持ち
 合わせており……▽
 その後、異例の早さでもって
 軍部でその頭角を現していった
 のです。▽

シグルド
「あの男にはひとつの理想が
 ありました。▽
 そして、それを達成する為に
 同志を集めていたのです。▽
 地上人であっても、有能で
 あれば次々と軍の要職に
 登用していきました。▽

バルト
「それじゃあ、二人共
 ラムサスに……?▽

シタン
「いえ、私達はラムサスに
 よって引き上げられたと
 いうよりは……▽
 彼の志に同調したのです。▽

シグルド
「その当時は……です。▽

シタン
「当時のラムサスは、まさに私達の
 希望でした。▽
 彼は自身が抱いていた高まいな理想
 のもと、ソラリスを新たな体制へ
 変えようとしていたのです。▽
 下層市民や被験体として生きねば
 ならなかった私達にとって、彼は
 希望だった。▽

バルト
「恩人ってとこか。▽

シグルド
「確かに……私の被験体としての
 人生を変えた男と言えます。▽


→なぜソラリスから出てきた?

バルト
「じゃあ、何でまたソラリスから
 逃げようと思ったんだ?▽


シグルド
「ラムサスのおかげで軍の要職に就いた
  我々は、そこでようやくソラリスと
       地上との関係を知りました。

バルト
「つまり……ラムズ……だな?

シグルド
「単に労働力として使役させるだけ
 でなく、私のような被験体を選出

 その人間の人格を変え、闘争心と
 潜在能力を引き出す薬物を投与し、
 精製する為の人体実験もしていた。

バルト
「人体実験だって!?

シグルド
「例えば……

『ドライブ』

   現在、彼等が使用している
    あのような類の薬品は
 それらの人体実験によって得られた
     副産物なのです。

シタン
「といっても当然被験体の役割は
 それだけではありませんが。

フェイ
「そのドライブとかって薬は
 ソラリスの軍人なら
 誰もが使うものなのか?▽

シタン
「少なくとも地上派遣部隊である
 ゲブラーの兵であれば誰もが
 使用しているでしょう。▽

バルト
「お前、気になるんだろう?
 あいつのことが。▽

フェイ
「……!▽

バルト
「あったぜ。
 あいつの部屋に。▽

フェイ
「そんな……。▽

バルト
「……にしても
 奴隷に被験体か……。▽

バルト
「とんでもねぇな▽


→もう一度聞く。


→よくわかった。

バルト
「まあ……だいたいの
 ところはわかった。▽

バルト
「爺!▽
 街にたのんで議事堂を
 おさえといてくれ。▽
 話の続きはそこでやろう。▽
 俺は少し風にあたってくる。▽


シグルド
「……もっと早くに打ち明ける
 べきだったかもしれないな。▽

シタン
「気にしない方がいいですよ。▽
 あなたなりに考えての行動だった
 のでしょう?▽
 若くんならわかってくれますよ。▽


メイソン
「きっと若にとっては想像も
 つかないような話だったに
 相違ないでしょう。▽

フェイ
「……ひょっとして、あなたは
 知っていたんですか?▽

メイソン
「さよう。▽
 しかし、シグルド殿に打ち明け
 られたときには、私も黙っている
 べきだと思ったのです。▽
 どうか、若をはげましてあげて
 くだされ。▽


バルト
「シグにあんな過去が
 あったとはな。▽

シタン
「まだ、シグルドを
 疑ってらっしゃる……?▽

バルト
「……っつーか、まあ、
 あんまり突然だったんでな。▽
 何て言うか、もっと違う話を
 期待してたってとこはあるな。▽
 若い頃からの敵同士で……とか
 なんとかさ。▽
 それにしたって、さっきの話に
 比べりゃ、たいした事ないだろ?▽

シタン
「ふむ。
 ところが、話を聞いてみたら
 そんな程度の事ではなかったと。▽
 かつてはあのゲブラーの将校と
 手を組んでいた事があり……▽
 おまけにそのゲブラーの背後には
 聞いた事もないような国が存在
 していた……。▽

バルト
「何だよ、突っ掛かる
 ような言い方だな。▽

シタン
「いや、もちろんあなたを
 責めるつもりはありませんよ。▽
 ただね……彼の気持ちを考えると
 あなたに打ち明けられなかった
 のも無理はなかっただろうと
 思うんですよ。▽

シタン
「今までソラリスの他国に対する
 行動は、あくまで自国を維持する
 範囲を超えてはいなかった。▽
 それに、あなたもご覧になった
 通り、彼等の兵力は強大だ。▽
 彼としてはまず、このイグニス大陸
 の問題を片付けた後の……▽
 その次の段階として、ソラリスの
 事を考えていたのではないのかな。▽
 はやって勝ち目のない戦をする
 よりは、まずしっかりした
 地固めをするのが先決と考える
 のも、自然な選択に思えます。▽

バルト
「まるであいつと気持ちが
 通じ合ってるみたいな言い方だな。▽

シタン
「まあ、確かに短い付き合いでは
 ありませんからね。▽
 それに、ソラリスを抜け出そう
 と決意するまでの間に、お互い
 色々話しましたから。▽

バルト
「それなんだが……。
 何で逃げ出してきたんだ?▽
 例のラムサスって奴は
 “希望の星”だったんだろ?▽

シタン
「ええ、確かに最初はそう思った。▽
 しかし、結局は彼の考えているのも
 それまでの体制と同じだという事が
 わかったんです。▽
 簡単に言うと、階級を重んじるか
 能力を重んじるかの違いだけのね。▽
 所詮それは毛色が違うだけで
 依然としてソラリス自体と何ら変わる
 ところはなかった。▽
 彼も全ての国民を救い上げようと
 までは考えていなかったんですよ。▽

バルト
「いわゆるエリート主義ってやつか。
 確かに俺も気に入らねえな。▽

バルト
「なぁ、シタンさんよぉ。▽
 俺がゲブラーに勝てると
 思うか?▽

シタン
「彼等と闘うつもりですか?▽

バルト
「奴等がシャーカーンと手をくんで
 いる以上、避けては通れないだろ?▽
 このままだと、いつか奴等とは一戦
 交えなきゃいけないのは確実だと
 思うんだ。▽

シタン
「そうですねえ……▽
 仮に、今この地にいるゲブラー
 の部隊に勝ったとしても
 その先にはソラリスがいる▽
 という事は、その後も新たな
 勢力がやって来る可能性が
 あります。▽
 下手をするとシャーカーン相手
 よりも長い戦いになるかも
 しれませんよ。▽
 いつまでも今の状態のままでは
 かなりつらいんじゃ
 ないですか?▽
 もっと多くの人の力を借りる
 必要があると思いますね。▽

バルト
「シャーカーンを倒しても
 ゲブラーみたいなのは
 なくならないのか……。▽

バルト
「つまり、あんたはこう言いたい
 訳なのか?▽
 “ゲブラーを倒したければ
   まずは王座につけ”と?▽

シタン
「ふむ……
 まぁ、そういう捉え方も出来る
 でしょうね。▽

バルト
「なにが
 “そういう捉え方”だよ。▽
 まぁ、確かにそういう時期に
 来てるのかも知れんな。▽


シグルド
「道具屋からテーブルを
 借りてきました。▽
 若のためなら何でも
 調達するから、遠慮なく
 言ってくれとの事です。▽

バルト
「ありがたいな。▽

バルト
「そういえばガキの頃
 あそこの売り物を拝借して
 ひどく怒られたっけ。▽

フェイ
「拝借したって……
 何を持ち出したんだ?▽

バルト
「船のオモチャだよ
 ……というか置物だったかな。▽
 そいつに花火を仕掛けて
 聖堂の湖に浮かべてさ。▽
 軍艦ごっこみたいな事をして
 遊んでたんだ。▽

バルト
「もうあまり覚えてないけど
 湖を大海原に見立てて……▽
 大艦隊を指揮官してるつもりに
 なってたような気がする。▽

バルト
「まあ昔の話はいいや。
 さっそく始めるとするか。▽

バルト
「まず……
 厄介なのはゲブラーだな。▽

シタン
「ラムサスは目的に向かって
 まい進している。▽
 ゲブラーの司令官という
 現在の地位が何よりの
 証拠です。▽
 並の人物では、あの国家体制で
 あそこまで上り詰められは
 しないでしょう。▽
 そして、その男が現在ここ
 イグニスにいるというわけです。▽

シタン
「正直なところ、状況は
 かなり不利だと言えます。▽
 何らかの手段で相手に隙を
 つくり、そこを一気に攻める
 事を考えるべきでしょう。▽

バルト
「まずはシャーカーンだけに的を
 しぼろう。▽
 奴を倒してアヴェを平定した後
 ゲブラーとの折衝の中から次の
 手を考えるんだ。▽

バルト
「今の俺達の戦力なら、近衛部隊
 くらいは押さえられるはずだろ。▽
 問題は、その間ゲブラーにどう
 対処するかだな……。▽
 シャーカーンの要請で動いてくる
 だろう。
 黙って見てるとは思えん。▽

シタン
「……ちょっと見せて
 くれませんか。▽

シタン
「要は、我々が王都を掌握するまでの
 間、一時的にゲブラーに出ていって
 もらえばいいのでしょう?▽


シタン
「これらが現在アヴェに駐留、展開する
 ゲブラーの部隊ですね?▽

シタン
「西方警護部隊▽

シタン
「王都防衛部隊▽

シタン
「そして……キスレブ国境配備
 の前線部隊。▽

シタン
「大きく分けると、この三つです。▽
 それぞれが、ゲブラーとアヴェの
 混成部隊で成っていて、
 このうち大きなものは二つ。▽

シタン
「王都防衛とキスレブ国境部隊です。▽
 ニサン国境の西方警護部隊は、
 国境監視隊に毛の生えた程度と
 なっています。▽

シグルド
「王都奪還に際してはこの
 防衛部隊をアヴェ王都から
 引き離す必要があるか……。▽

シタン
「確か我々にはキスレブ製の
 ギアがありましたね?▽

バルト
「ああ。
 以前、だ捕したやつがある。▽

シタン
「そいつを使ってニサン国境の
 西方警護部隊を急襲する
 というのはどうです?▽

バルト
「なるほど。キスレブがアヴェに
 侵攻してきたように見せかけ
 中央を誘い出すわけだな。▽


シグルド
「しかし、国境部隊が襲われた程度で
 中央が動いてくれるかが問題だな。▽

シタン
「その場合はニサンがキスレブに同調
 したと見せるしかないでしょうね。
 それならば確実に動きます。▽

バルト
「ニサンを矢面に立たせろって
 いうのか!?▽

フェイ
「先生!?▽

シグルド
「確かにシャーカーンはキスレブ
 とニサンの動きにかなり過敏だ。▽
 ニサンが動いたとなれば、奴が
 ゲブラーに働き掛けてくるだろ
 うが、しかし……▽

シタン
「もちろん私だって最初から
 そんな事を望んではいません。▽
 ただ、これほどの劣勢を覆すと
 なるとそれぐらいの覚悟は必要
 だと思うんです。▽

  ううむ……  ▽

バルト
「まず王都内に潜入する事だ。▽
 シャーカーンを倒すにあたっては
 現地に潜んでいる同志達と合流
 しなきゃならない。▽

シタン
「あともう一つありました。
 キスレブ国境沿いの前線艦隊です。▽

バルト
「……!▽


シタン
「先代王の時代から就役している
 戦艦キファインゼルを旗艦とする
 アヴェ主力艦隊です。▽
 通称、無敵艦隊。▽
 確か、昨日入った情報では、これが
 国境付近に配備されたとのことでし
 たよね?▽


バルト
「やれやれ……。
 もう少しましな話はないのか?▽

シタン
「そう落ち込まなくても
 いいですよ。▽
 私はただ、現状の勢力分布を
 確認したかっただけです。▽
 万が一やって来たとしても
 その艦隊はそれほど心配には
 及ばないと思います。▽

バルト
「どういうことだ?▽

シタン
「その前線艦隊についての追加情報
 として、旧アヴェ司令官が転属
 してきているとのことです。▽
 まぁ転属というよりは
 左遷……ですかな。▽
 その男の名はヴァンダーカム。▽

シグルド
「ヴァンダーカム……▽

シグルド
「ひょっとして、あのユーゲント
 にいたヴァンダーカムか?▽

シタン
「その通り。▽

シタン
「若くん、この男はギア出現による
 戦術転換に馴染めず……▽
 旧態依然とした大艦巨砲主義から
 離れられない男なんですよ。▽

バルト
「要するに頭がカタいんだな?▽
 でかいだけが取り柄で見かけ
 ほどの戦力はないって事か。
 海賊にはもってこいの獲物
 だがなぁ。▽

メイソン
「若!
 今回は海賊行為とは
 違うのですぞ!▽

バルト
「冗談だよ。▽

シタン
「事実、艦隊に配備されたギアの数は
 かなり縮小されているらしいです。▽

シタン
「それにしても……
 徹頭徹尾、己の信念を貫くとは
 彼もいさぎよいですねぇ。▽

バルト
「そいつ、脳みそが筋肉で出来て
 るんじゃねーの?▽
 おちょくりがいがあるなあ。▽

メイソン
「若!!▽

バルト
「わかってるよ!▽
 で、先生から見て、そいつら
 は俺達のギア部隊でも
 叩けるのか?▽

シタン
「問題ないでしょう。▽
 ただしヴァンダーカムはさておき、
 うまくこちらの思惑通りに陽動
 出来たとしても、本国には充分な
 戦力が残っているはずです。▽
 その意味では、楽観視は
 できませんけどね。▽


シグルド
「敵の状況はそれでよいとして
 我々の出方だが……▽

シグルド
「アヴェに向かう本隊以外に……▽
 キスレブ国境側の部隊が王都に
 戻ってこないように足止め
 しなくてはならない。▽

バルト
「別部隊が必要か。▽

シタン
「寡兵よく敵を制す……
 小規模の部隊が望ましい
 でしょう。▽

シグルド
「小規模な部隊か……。▽

シタン
「フェイが行ってはどうです?▽


フェイ
「俺が……!?▽

シグルド
「ちょっと待ってくれ!
 今回ばかりは君たちを巻き込む
 わけにはいかん。▽

フェイ
「……やるよ。▽
 俺にやらせてくれ。
 いつ決行するんだ?▽

バルト
「……いいのか?▽

フェイ
「のりかかった船だ。
 最後までつきあうよ。▽

シタン
「兵は神速を貴ぶもの。
 決行は早い方がいいでしょう。▽

バルト
「よし、明日だ!▽

シグルド
「かたじけない…。▽
 フェイ君、
 シタン。▽


バルト
「よしっ!▽

バルト
「とにかく勝ち目のない無茶は
 なしだ!
 誰も犬死になんかさせたくない!▽

メイソン
「御立派ですぞ、若!▽


マルー
「おはよう!▽

マルー
「どうしたのその顔?
 元気ないぞぉ〜!▽
 もしかして緊張してる?▽

バルト
「バカやろう
 茶化すなよ!▽

マルー
「へへへ。▽

マルー
「……いよいよだね。▽

バルト
「……ああ!▽

バルト
「みんな出発の用意できたか?▽
 俺はここで待ってるから。
 準備が整ったら呼んでくれ。▽


マルー
「若から聞いたよ。
 フェイも作戦に
 参加するんだって?▽
 随分巻き込んじゃったね。▽

フェイ
「まあ、ここまで来たら
 最後まで付きあうさ。▽

マルー
「ありがとう。
 きっと上手く行くよ。▽


シグルド
「出発までまだ時間がある。
 あわてないで準備を整える
 ことだ。▽


メイソン
「私はこの日をどんなに
 待ちわびていたことか。▽


シタン
「……今日は風がありますね。▽


バルト
「準備はいいか?▽

→よし!

(※次へ)


→まだだ

バルト
「俺はここで待ってるから
 準備が整ったら呼んでくれ。



    

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